●つ、疲れた……ぐったり。いやあ、しかし良い経験をさせてもらいました。はるばる埼玉スタジアムへ出向き、チャンピオンシップ第2戦。試合開始前に駅からスタジアムまでの間、大勢のガイジン&日本人が「一枚1000円、この日のためのレッズ・マフラー」とやらを販売していた。
●ワタシのチケットはコーナーフラッグ近くの「アウェイ側指定席」である。これが大誤算。やられた。その指定席に行ってみたら、前も後ろも真っ赤で WE ARE REDS!!!! WE ARE REDS!!!! の大合唱。熱い、熱すぎる。座席に赤い旗まで置いてある。ワタシにこれを振れというのか?? マリノス・サポはいずこへ。この屈辱、わかりますか。
●ワタシは一瞬ムッとして、毅然として立ち上がり周囲の異教徒たちに向かって、大声で叫んだ、「さあ、みなさん、みなさんはまちがってます、いっしょに歌いましょう、エフーマリ~ノス! エフーマリ~ノス!」……ウソ。できるわけねーよ。もうひたすら黙って耐えた。マリノスのピンチにもチャンスにも、一言も発せず、耳をつんざくような大音量でレッズの歌をうたわれても一切無視。よく観察すると、たしかにポツリポツリとこの「アウェイ側指定席」に同胞がいるようである(赤くなくて、拍手のタイミングが周囲と違う人たちが)。しかしこれではワタシはいかなる感情表現も許されないではないか。
●これはワタシの失敗である。相手がレッズなんだから、ゴール裏以外にマリノス・サポが生きていける場所はない。そして、「アウェイ側指定席」にもかかわらずチケット争奪戦に負けたわれら非ゴール裏派マリノス・サポが情けないんである。このままではあんまりだと、ワタシはハーフタイムにゴール裏へ移動しようと思った。
●ところがそうはいかないんだな、これが。マリノス側ゴール裏とこちらの席とのあいだには空席の緩衝地帯が設けられている。そして、こちら側からゴール裏へ通ろうとしてもあいだにはずらりと警備員が並び、一部機動隊まで控えていたりする。おいおいっ!ワタシゃホントはそっち側の住人だよ、救い出してくれよ! もう味方からも見放され、敵陣のなかに見捨てられた気分である。これで120分プラスPK戦。
●試合内容は第1戦の続きのようで、マリノスは耐えて守って、ボールをとったら坂田めがけて大きく蹴るような、泥臭いサッカーをしていた。0-0で終わって勝てるかなと思った後半、中西エイスケが退場、アレックスにフリーキックを決められ追いつかれた。これでもうダメかと思ったが、レッズは一人多くなった割にはマリノスのディフェンスを崩しあぐねていた。こういう押されながらも守りきるサッカーは本来マリノスのお家芸でもあって、久保、アン、遠藤、ユら怪我人だらけのチームにとって唯一現実的な対抗策であったとも思う。
●PK戦に入るとき、レッズのGK山岸が自ゴール裏のサポを大きなジェスチャーで煽っていた。これを見たとき、「もしかしたら勝てるかも」という気になった。あれはキーパーの緊張の裏返しというか、重圧で自信が揺らいだから煽ったのだと解した。とはいえ、PKの本質は「抽選」っすね。どちらが勝ってもおかしくなかった。
●ワタシはどっちが勝っても試合終了したら即座にスタジアムを脱出すると決めていた(満員の埼玉スタジアムでぐずぐずしていると駅は大混雑する。しかもヘタすると終電なくなる)。負ければ用はないのは当然、勝ってもこんな真っ赤な場所にいては選手と喜びを分かち合うわけにもいかない。最後のキッカー、ドゥトラ(反対側の席からは山崎か田中ハユマに見えた。謎)が蹴ったボールがネットに吸い込まれたのを確認した瞬間、出口へダッシュした。出口のところで若いカップルが飛び上がって喜んでいた。ほんの少しだが、マリノス・サポもいるにはいるんである。ワタシも「うおっしゃー!」と一言だけ叫び、うなだれるレッズ・サポーターたちを背にして走り去った。