●ジェルジ・リゲティが死去、そして翌日岩城宏之死去。訃報のときばかり共通の話題が広がってしまうが、これはしょうがない。才能のある人、功績のある人が死んだ事実はだれもがすぐに知ることができるが、才能のある人、功績を残す人が生まれた瞬間は誰にもわからないんだから。
●で、リゲティ。20世紀後半を代表する作曲家であり、かつ一定のポピュラリティも獲得できた人として、まっさきに挙げられる一人だろう。以前はWERGOレーベルの録音でポツポツ聴くという感じだったが、晩年になってSONYとTELDECのようなメジャー・レーベルの録音によって、誰でも聴きたいときに聴けるようになったのは大きい。でももっと遡れば、スタンリー・キューブリックが映画「2001年宇宙の旅」で使ってくれたおかげで、知ってる人も知らない人もみんな「アトモスフェール」やら「ルクス・エテルナ」を耳にしている。写真はジョナサン・ノットがベルリン・フィルを指揮したThe Ligeti Project Vol. 2。これは「アトモスフェール」や「ロンターノ」が入ってる。リゲティの二大美しい音楽。精緻かつ耽美なり。
●Ligeti Edition Five Mechanical Musicには100台のメトロノームのために書かれた「ポエム・サンフォニック」が収録されている。これは電子メトロノームじゃダメっすよ。機械式のメトロノームで、ネジを巻いて100台一斉に鳴らす。最初は元気にカタカタ鳴ってて、100台あるから昆虫の大群でも飛んでるのかと思うような音がするけど、だんだんネジが切れて音の密度が薄くなって、しまいには最後の一台が止まる。作曲者の意図にはなかっただろうけど、今日聴くと死のイメージと直結する。リゲティには別途レクイエムがあるが、本日のところはこの曲で故人の冥福を祈りたい。