Disc: 2015年6月アーカイブ

June 26, 2015

ギルバート・キャプランと「復活」

●ギルバート・キャプランの名前は、マーラーの交響曲第2番「復活」専門の指揮者として知られている。もともとは経済誌の編集長だったが、「復活」に魅せられて指揮を猛勉強して、1987年にロンドン交響楽団を指揮してCDを録音するにまで至った。そのときのレーベルはCONIFERだったと思う。で、その後も「復活」専門の指揮者として各地で活動し、なんと2002年にはウィーン・フィルとのレコーディングまで実現してしまった。最近では、ウィーン室内管弦楽団を指揮して、「復活」室内オーケストラ版まで録音している。
●最初のCDが出た頃、自費でホールを借りたりオーケストラや合唱を雇ったりして「復活」を指揮した酔狂な男がいるという話が日本にも伝わってきて(うろ覚えだけど、プロモーションで来日したんじゃなかったっけ?)、ある音楽誌の編集長が「経済誌の編集長はずいぶん儲かるんだなあ」と感想を漏らした。うーむ、いくらなんでも雑誌の編集でそんなに稼げるわけないよなあと、自分も釈然としなかったんだけど、ずっと後になって知ったことによると、彼はその経済誌の創業者で、87年に会社を7,200万ドルで売却して、その後しばらく編集長に留まっていた、ということらしい。なるほど、それだけの資産があれば、オーケストラを雇うくらいなんということもないか。当時、日本はバブル期の絶頂だったが、それでも自分で創業した会社の株式を売却して大金持ちになるというのは、一般人の発想になかったと思う(そういうノリはITバブル以降かと)。
●ちなみにかつてキャプランが創設した institutional investor は、今でも健在のようだ。

June 24, 2015

キリル・ペトレンコの録音

●はっ。スーパーに買い物に来たら、納豆が全部売り切れ!とか。あるいはサバ缶がどこにもないっ!とか。そういう本来潤沢に供給されているはずのものが、一時的に需給のバランスが崩れてさっぱり手に入らなくなることってあるじゃないすか。待ってれば確実に手に入るのに、欲しいと思ったそのときにないというフラストレーション。

●デジタルだとそういうことが起きないのがいい。欲しいと思った人は全員買えるし、作る側も売り時を逃さずに売れる。ベルリン・フィル次期首席指揮者として一般紙にも名前が載って、突如として脚光を浴びたキリル・ペトレンコ。これまでの録音は本当に少ないのだが、現在データで購入可能なのが以下の録音。

Amazon デジタル・ミュージック:Kirill Petrenko

●これがまたスークの交響詩「人生の実り」(ベルリン・コーミッシェ・オーパー管弦楽団)とか、プフィッツナーのオペラ「パレストリーナ」(フランクフルト歌劇場管弦楽団)とか、ベルリン・フィルのシェフになる人にしてはずいぶん渋い。今、かつてないほど勢いよく、スークの交響詩とプフィッツナーの「パレストリーナ」がダウンロードされている予感。轟轟と音を立てて流れるビット・ストリーム。
●ベルリン・フィルのDCHに収録しているエルガーの交響曲第2番や、スクリャービンの「法悦の詩」を単体で売ろうという話は出てくるのだろうか。それともすでにDCHがあるんだから必要ない? あるいはハイレゾ?

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