News: 2013年8月アーカイブ

August 27, 2013

サイトウ・キネン・オーケストラの生中継スクリーンコンサート、ラトル&ベルリン・フィル公開リハーサル

●パジャマのズボンをうっかりと前と後ろを逆にはいてしまったときに「別に眠るだけならこのままでもオッケーなんじゃね?」と一瞬でも思ってしまった怠惰な自分を罰したい。
サイトウ・キネン・オーケストラ生中継スクリーンコンサート●9月3日(火)、松本での大野和士指揮サイトウ・キネン・オーケストラの生中継スクリーンコンサートが六本木ヒルズアリーナで開催される。大型スクリーンを用いてハイビジョン・5.1chサラウンド音響での中継。会場はオープンスペースで、入場無料で申し込みも特に必要がないということなので、気軽に参加できるのが吉。曲はモーツァルトの交響曲第33番変ロ長調、リゲティのフルート、オーボエと管弦楽のための二重協奏曲(日本初演)、R・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。
●もう一件、こちらは学生のみなさんに。サイモン・ラトルが指揮する「TDKオーケストラコンサート2013 ベルリン・フィル来日公演」の公開リハーサルに、18歳以上で音楽を学んでいる学生の方200名を抽選でご招待。11月19日(火)17:00~、サントリーホールにて。「当日、学生証をご提示いただきます」ということなので、学生でもないオッサンが無理やり応募してはいけません。

August 23, 2013

ドゥダメル&ベルリン・フィルの新譜「ツァラトゥストラはかく語りき」リリース

ドゥダメル&ベルリン・フィルのR・シュトラウス●ベルリン・フィル&ドイツ・グラモフォン録音100周年記念アルバムとして、ドゥダメルとベルリン・フィルのコンビによる初録音、R・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」他が発売された。ベルリン・フィルといえばサイモン・ラトルが2018年までの現契約満了で首席指揮者を勇退するという話があったけど、こうして新譜CDがリリースされるのを見ると、後継者はドゥダメルなのかなあ、みたいな雰囲気になるっすよね。ぜんぜん根拠レスだけど。
●なんとなくこのジャケット・デザインに昭和のおっさんホイホイ的なセンスを感じる。あるいはセルフパロディ的というか。
●で、国内盤のほうが若干先行発売されているのだが、時代は変わったなあと感じるのは、同じアルバムがiTunesですでに7/24から特別価格600円で超大幅先行発売されていたということ。というか、その事実がレコード会社のプレスリリースにババーン!と堂々と記されていることというべきか。
●フィジカルだろうとデジタルだろうと、「聴きたい」っていうリスナーにとっては同じなんすよね、購買チャンネルが違うだけで。実のところ、このドゥダメルの音源はCDリリース前からSONYのMusic Unlimitedでも聴けた(一応。ギャップレス再生できないが)。さらに言えば、もととなるライブ映像はベルリン・フィルのデジタル・コンサート・ホールでアクセスできたわけで、みんな好きなところから聴けばいいわけだ。iTunesが好きではない方はamazon mp3からスペシャルな価格でゲットできる。

August 22, 2013

「ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯」(松原千振著/アルテスパブリッシング)

ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯●シベリウスの評伝というと、これまでに「シベリウス ― 写真でたどる生涯」(マッティ・フットゥネン著/音楽之友社)、「シベリウスの生涯」(ハンヌ=イラリ・ランピラ著/筑摩書房)があったが、今やどちらも入手困難。で、そこに待望の新刊「ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯」(松原千振著/アルテスパブリッシング)が登場した。著者は合唱指揮者で、北欧での演奏経験も豊富。
●で、評伝といいつつも副題に「交響曲でたどる生涯」とあるように、作品解説をさしはさみつつ生涯をたどるという独特の構成になっている。本文正味170ページほどに評伝と作品解説の両方が含まれるので、さすがに評伝部分は細部まで綿密に生涯を追いかけるといった構成にはなっていないが、コンパクトに読みやすくまとまっているのが吉。作品解説も読み甲斐がある。リファレンス的な研究書というよりは、闊達な筆致で綴られた読み物としてのおもしろさに魅力を感じる。逆に巻末に添えられた作品リストは基礎資料として非常に有効。
●シベリウスの過度の飲酒癖については、よく知られていると思う。本書では「交響曲第7番」の章で、演奏旅行中にシベリウスは酒気を帯びてコンサートに臨み、アイノ夫人からたしなめられたことや、あるコンサートでは手の震えが止まらずアルコールの力を借りて乗り切ったことが述べられている。

 アルコールの問題は深刻であった。健康にかかわるというような単純なことではなく、その当時フィンランドでは禁酒の法律が出ていたのである。そして1922年4月、特例を認めない完全禁酒法が施行された。ところがシベリウスは医師から特別に酒を、それも強い酒を得ていた。(p117- )

これは盲点。フィンランドには厳格な禁酒法時代があったんすね。
●秘書レヴァスの記憶として、シベリウスが死の2か月ほど前に「『クレルヴォ』『レンミンカイネン組曲』を入れて私の交響曲は9曲になった」と語っていたという話もおもしろい(p130)。もうとっくに「第8番」はあきらめていた(燃やした?)だろうから、「もう9曲書いたんだからこれでおしまいでいいじゃないの、やれやれ」的なニュアンスだったんだろうか。シベリウスもマジックナンバーとしての「第九」を意識していたというのがおかしい。

August 16, 2013

東京フィル「ハートフルコンサート2013」

東フィル ハートフルコンサート2013●8月15日は尾高忠明指揮東京フィル「ハートフルコンサート2013」へ(東京芸術劇場)。毎年この日に黒柳徹子さんの司会で開かれる演奏会で、楽しいトークの合間に平和への願いやUNICEF親善大使としての最近の活動についての報告がさしはさまれる。今回は、今年3月に訪れた南スーダンについて。長期化した内戦の末に独立した国家であり、特に子供たちへの医療施設が不足していることや学校教育が切実に求められていることなど。こういったトークがあっても、雰囲気が辛気臭くならず、なおかつ客席の共感を得られるというのが黒柳徹子さんのお人柄。ほかの誰にもできない。「アフリカの出来事に関心を持ってほしい」というメッセージ。
●で、今回は20周年を迎えたJリーグとのコラボレーション・コンサートということで、ゲストが川淵三郎キャプテンだったんすよ。選曲はヴェルディ「アイーダ」の「凱旋行進曲」以外はそれほどサッカー由来というわけではなかったんだけど、入口にJの各チームのシャツを着用したスタッフの方々がいたり、Jリーグ杯のレプリカが飾られていたり、プログラムに大東チェアマンの挨拶が載っていたりと、サッカー成分は高かった。黒柳徹子さんからもポンポンとツボに入る名言が飛び出した。「本田さん、昨日の試合でも球をお入れになったんですって」。
●川淵キャプテンへのサプライズ演奏として、東フィルが「翼をください」を演奏した。すると、舞台上で聴いていた川淵キャプテンが涙ぐんでいる。「苦しかったフランスW杯予選でサポーターたちが、『フランスへと飛びたつ翼をください』とこの曲を歌ってくれたことを思い出す」。そう話しながらも涙が止まらない。
●あのフランスW杯の最終予選の苦しい道のりはサッカー・ファンには忘れられないものだった。しかしスタジアムで「翼をください」が聞こえてきたときにはのけぞった。え、そんな選曲ありえない。殺伐としてささくれ立った最終予選の空気と、この曲から感じる学校教育的なイメージがまるで合致していないような気がして。でも、重圧にさらされていた当事者にとっては胸を打つ選曲だったのだなと、今頃になって知る。

August 9, 2013

フェスタサマーミューザでインキネン&日フィル

サマーミューザのうちわフェスタサマーミューザをもう一公演。ミューザ川崎でインキネン&日フィル。インキネンはこの一公演のために来日したのだとか。曲はワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番(原田英代p)、ベルリオーズの幻想交響曲。
●この日は平日19時開演で休憩ありの通常の長さのコンサート。まずは15時半からの公開リハーサルへ。目視で300名ほどの来場。先日のエッティンガー&東フィルは何度も止めながらみっちりとリハーサルしていたけど、こちらは本番直前の最終チェックといったところで淡々と進んだ。インキネンからのリクエストもごくわずか。その分、本番になると「スイッチが入った」感がありあり。「マイスタージンガー」を振るインキネンにときどきティーレマンの「どぜうすくい」が憑依してたような……。モーツァルトのソロは出色。自在で即興性豊か。第1楽章と第3楽章の耳なじみのないカデンツァはだれの?(※追記:第1楽章がブゾーニ、第3楽章がシュニトケだとか)。 第3楽章で入るアインガングもカッコいい。この曲、実演での演奏頻度が高い割にはモヤモヤした気分になることが多いんだけど、溜飲を下げた。
●メインの幻想交響曲は進むにつれて熱くなった。客席は大喝采。最近やたらこの曲を聴く機会が多い気がするが、燃焼度では最強。「北欧の貴公子」然とスタートして「炎のインキネン」で終わった。

August 7, 2013

フェスタサマーミューザでエッティンガー指揮東京フィル

フェスタサマーミューザ2013●ふたたびフェスタサマーミューザでミューザ川崎へ。6日はエッティンガー指揮東京フィル。ヴェルディ&ワーグナー・プロ、ソプラノ吉原圭子、バリトン与那城敬。平日15時開演、休憩なしの短いプログラム。
●せっかくミューザまで来てそれだけというのももったいないので、午前11時30分からの公開リハーサルにも出席することに。リハーサルにも200~300名が来場。みっちり1時間半ほどリハーサルしてくれて、とてもおもしろかった。効率的で要求が明確で、ディテールの彫琢をしっかりすることで、全体としてよりメリハリの効いた音楽を作り出す。アンコールまでやるのでネタバレ感はあるけど、そこはみんな承知の上。公開リハは自由席なので、P席側に座れるのが吉。こちら側に座らないと、モゴモゴ響いてしまって、なにを言ってるんだかわからない。
●曲はヴェルディ「運命の力」序曲、「椿姫」第1幕前奏曲&「そはかのひとか~花から花へ」、「ドン・カルロ」より「終わりの日は来た~カルロよ聞け」、ワーグナー:「ワルキューレの騎行」、「タンホイザー」より「夕星の歌」&序曲。弦楽器は対向配置で第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの並び、下手奥にコントバラス。
●対向配置っていっても、実際のホールだと(特に座席が舞台から遠いと)CDで聴くほどのステレオ効果は感じられないもの。でも「椿姫」第1幕前奏曲のあの繊細な冒頭は第1、第2ヴァイオリンだけで始まるので、はっきり左右に分かれて聞こえるのが効果的。これにヴィオラとチェロが加わるんだけど、チェロはソロなんすよね。一人のチェロが「両手に花」状態になる。美しい。ヴェルディ、天才だなあ。
●前半ヴェルディと後半ワーグナーの間に、休憩はなかったが、マエストロ・トークがあった。イスラエルに生まれたエッティンガーにとって、ヴェルディは子供のころから親しんできた大作曲家だが、ワーグナーはそうではない。イスラエルではいまだワーグナーはタブー、自分の世代ももっと若い世代もワーグナーにはなじみがない。ドイツに移ってワーグナーを勉強することができた、等々。そのエッティンガーがベルリン国立歌劇場でバレンボイムのアシスタントを務め、新国立劇場では「ニーベルングの指環」を振ったわけだ。

August 5, 2013

夏休み特別公演「N響ほっとコンサート」

●4日(日)は夏休み特別公演「N響ほっとコンサート」へ。恒例のファミリーコンサート的な公演で、NHKホールに大勢の子供たちが詰めかけた。山下一史指揮。今年のテーマは「オーケストラと踊ろう」。古今の様々な舞曲を集めた選曲で、前半にバッハの管弦楽組曲第3番のガヴォット(久々にモダンオケの演奏で聴いた)、ラヴェルの古風なメヌエット、ヨハン・シュトラウス「皇帝円舞曲」他、後半はチャイコフスキーのバレエ音楽をいくつかとストラヴィンスキーの「火の鳥」から「魔王カッチェイの踊り」「子守唄」「終曲」。
●子供はつまらないとすぐ飽きる。特に最初が肝心。幕が開けると、司会や指揮者のあいさつを入れずに、すぐにバーンスタインの「キャンディード」序曲を始めて、引きしまった演奏でビシッと客席の心をつかんだ。ファミリーコンサートでの演奏のクォリティと子供たちの行儀のよさには正の相関があると改めて確信する。トークの分量のバランスもほどよく、後半のチャイコフスキーでは牧阿佐美バレヱ団のバレエも加わって、長さを感じさせない構成になっていた。最後がストラヴィンスキーで盛りあがるのもいいっすよね。
●開演前と開演後の時間帯には、ロビーのあちこちに楽器体験コーナーが設けられる。N響メンバーやスタッフといっしょにオーケストラの楽器を触って音を出してみようという趣向。子供たちだけじゃなくて年配者たちの参加率も高いのが特徴。おじいさんおばあさんとお孫さんっていう夏休みらしい組み合わせもちらほら。
●バレエのコーナーの途中で司会の岩槻里子アナウンサーが客席に「バレエを習ってる方、習ったことのある方は手を挙げて~」とやったら、あちこちからパラパラパラパラと挙手があったのには驚愕。みんなそんなにバレエ習ってるもの? そういう客層だから?

August 2, 2013

ラトル&ベルリン・フィルの新譜にWarnerのロゴ

ラトルのラフマニノフ「鐘」●ラトル&ベルリン・フィルの新譜はラフマニノフの合唱交響曲「鐘」&交響的舞曲。で、この輸入盤のCDジャケットを見ると、右上にEMIのロゴではなくWarnerのロゴが入っている! ええっ。あの赤いEMIのロゴはもう使われないの? これまでの旧譜の発売会社はどうなるんでしょう?
●おさらい。少し前まで世界の「メジャー」と呼ばれるレコード会社には、ユニバーサル、ワーナー、EMI、ソニー、BMGの「五大メジャー」があった。クラシックのレーベルで言うと、ドイツグラモフォンやDECCAはユニバーサルに、TeldecやEratoはワーナーに、RCAはBMGに属していた。で、2004年、ソニーとBMGが合併した。新たにユニバーサル、ワーナー、EMI、ソニーの「四大メジャー」体制になった。
●で、昨年、ユニバーサルがEMIのレコード部門を買収することになった。これでユニバーサル、ワーナー、ソニーの「三大メジャー」になったわけた。これに伴って今年から日本法人も経営統合されて、ユニバーサル ミュージック合同会社がEMIミュージック・ジャパンを吸収合併している。
●が、ここからさらに新たな展開があって、EMI傘下だったParlophoneレーベル・グループについては、ワーナーに譲渡されることになった。で、ここにはEMIクラシックスやVirginクラシックスが含まれている(Warner to buy the Parlophone Label Group / EMI Classics and Virgin Classics are part of the package)。クラシックに関して言えば、EMIがユニバーサルに移ったと思ったら、今度はワーナーに移るというわけだ。国内ではすでにEMIの新譜の宣伝をユニバーサルが行っているというのに、いったいどうなるんだろう……と思っていたところに、上記のようなラトル&ベルリン・フィルの新録音が登場。ワーナーのサイトにも、こんなアルバム情報ページができている。

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