●31日は東京オペラシティで鈴木愛美ピアノ・リサイタル。昨年の第12回浜松国際ピアノコンクールで日本人として初優勝を果たした注目の若手。同じ会場で「題名のない音楽会」の収録で少しだけコンチェルトを聴く機会があったが、しっかりとリサイタルを聴くのは初めて。前半がシューベルトの高雅なワルツ集、フォーレの主題と変奏、同じくノクターン第6番、ワルツ・カプリス第2番、後半がシューベルトのピアノ・ソナタ第18番「幻想」という味わい深いプログラム。前半はシューベルトのワルツで始まってフォーレのワルツで終わり、全体を見ればシューベルトで始まって、シューベルトで終わる。国際コンクール優勝者ながら、メカニックで勝負する選曲ではなく、繊細で磨き上げられたピアニズムに持ち味。
●後半のシューベルト「幻想」が印象的。渋い選曲だなと思うが、まったく気負いがない。この曲、なんとなく老巨匠にふさわしいような音楽と思いがちだが、シューベルトのあらゆる作品は若者の音楽であるわけで、これが等身大のシューベルトなのかも。終楽章に入って、ふわっと空気が変わる瞬間がすばらしい。あそこで光がさしてなにかが解決したようでいて、進むにつれて寂しさが募ってくるようなところがたまらない。静寂の中、余韻を残して終わり、アンコールに2曲。リスト「ウィーンの夜会」(シューベルトのワルツ・カプリス)第6番、シューベルト「楽興の時」第3番。
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●昨日から当サイトにSSL証明書をインストールし、URLがhttpからhttpsに変わった。つまり、世の中の90%以上のサイトと同じようにセキュアなサイトになった。対応が世間から10年以上遅れてしまったが、そこには30年前から続く古代のサイトゆえの難しさがあってだな……。だれも興味ないと思うけど、その顛末は近々記しておきたい。そもそもhttps化がうまくいっているのか、まだ少々心もとないけど(代行業者に頼らず、.htaccessの記述やらSSL証明書の取得など、ぜんぶ自分でやってるので!)。
November 4, 2025