
●12日はNHKホールでファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団。プログラムはショパンのピアノ協奏曲第2番(エリック・ルー)、ニールセンの交響曲第4番「不滅」。巨大なNHKホールでチケットは完売。ニールセン人気が大爆発!(違います)。前半のソリスト、長身痩躯のエリック・ルーは今年のショパン・コンクールの優勝者。あらかじめ優勝者が出演することが決められており、だれがこの日に出演するかはコンクールの結果が出てからわかるという恒例の方式。今回は新しい才能が発掘されたというよりは、すでに実績のある成熟した人が優勝したという感が強い。曲がはじまってすぐ、まだオーケストラの提示部でぐらぐらと長めに揺れた。オーケストラは平然と演奏を続けたが、数日前に青森県八戸市で最大震度6強の地震があったばかりなので、大地震かもしれないと緊張する。こういうときに震源地だけでもわかればと思ってしまうが、わかったところでなにができるというわけでもない。落ち着かない気持ちのまま聴くことに。エリック・ルーは洗練されたピアニズムを披露してくれたが、そんなこともあって、音楽に集中できず。アンコールにバッハのゴルトベルク変奏曲のアリア。モダンピアノならではの強弱を生かしたエモーショナルなスタイル。リピートで控えめに装飾に変化を付ける。ショパンと地続きのしっとりしたバッハ。休憩に入って急いで確認したら、震源は茨城県南部で最大震度4だった。
●後半のニールセン「不滅」は聴きもの。この曲、自分は思い入れがあるので、聴けるチャンスがあればなるべく聴きたいと思う曲。N響は2021年6月にパーヴォ・ヤルヴィと「不滅」を演奏していて、そのときも鮮烈な名演だった。ルイージとパーヴォ、わりとレパートリーが重なるが、ルイージは首席指揮者を務めるデンマーク国立交響楽団とDGからニールセンの交響曲全集をリリースしていて、これは新たな十八番なのだろう。ルイージの「不滅」もエネルギッシュなんだけど、前任者に比べると横に流れる音楽というか、より抒情性が際立っている感。ふたりのティンパニ奏者(どちらも客演だった)の応酬はキレッキレ。輝かしい生の賛歌に圧倒される。

●また今年もNHKホール前の代々木公園ケヤキ並木で「青の洞窟」が開催中。赤﨑勇、天野浩、中村修二の3氏により至難と思われた青色LEDが開発されたことで、白色LED照明が実現し、世界を変えたことに思いを馳せる年に一度のお祭りである(←ウソ)。
December 15, 2025