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January 8, 2026

TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026 山根一仁、嘉目真木子、川口成彦、兼重稔宏

TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026
●7日は今年最初の演奏会で「TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026」へ。「1909年製ベーゼンドルファーとの邂逅」と副題が添えられており、昨年から同ホールに貸与された1909年製のベーゼンドルファー250がフィーチャーされている。かつてウィーン国立歌劇場内のバレエのリハーサル室で使用されていた楽器で、昨年3月の記者発表の際にデモンストレーションがあった。モダンピアノとはいえ、1909年まで遡ればこれも一種のピリオド楽器か。角のとれた丸い響きが特徴で、キラキラの高音ではなく、中低音の少し鼻にかかったような音色に味わいがある。
●出演はヴァイオリンの山根一仁、ソプラノの嘉目真木子、ピアノの川口成彦、兼重稔宏。プログラムは盛りだくさんで、前半にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」(山根&川口)、同じくピアノ・ソナタ第30番ホ長調(兼重)、ブラームスの「5つの歌曲」より「調べのように私を通り抜ける」Op105-1、「4つの歌曲」より「永遠の愛」Op43-1、モーツァルト「クローエに」K524、リヒャルト・シュトラウス「8つの歌」より「献呈」と「万霊節」(嘉目&兼重)。後半はすべて川口のソロでシューベルトの4つの即興曲集D899、ショパンの「華麗なる大円舞曲」と夜想曲第2番変ホ長調。ワルシャワを旅立ったショパンがまずはウィーンに滞在したことも含めれば、楽器に寄せたウィーン・プログラムともいえる。
●最初の「スプリング・ソナタ」からインパクトがあって、どれも聴きごたえがあったけど、いちばん印象に残ったのは川口成彦のショパン。昨年の記者発表でも夜想曲第2番を弾いてくれたと思うけど、そのときも一歩踏み込んだ思い切りのよい表現にぐっと来たのだが、今回もまた楽器を触媒として19世紀の残り香を伝えてくれるかのようなショパン。薫り高く、新鮮。超有名曲を一から洗い直したショパンというか。「華麗なる大円舞曲」はブリリアンスに焦点を当てるのではなく、人間くさいダンスの音楽として再現されていて自在。譜面を置いての演奏で、最後の余韻が続くなかで自ら楽譜を静かにめくって拍手を制し、そのまま夜想曲第2番につなげる。効果抜群。
●アンコールは川口&兼重の連弾によるブラームスのハンガリー舞曲第1番で始まり、途中から山根が登場して加わり、「愛の歌」第4曲で嘉目も加わって全員参加。一年の始まりにふさわしい華やかさ。