
●東京都現代美術館の「多田美波―光、凛と ゆれる」展へ。抽象彫刻家・造形作家の多田美波(1924–2014)の大規模個展。初期の絵画から「光造形」と呼ばれるシャンデリアなどの照明作品も含む約70点が展示。なかには現存しない作品の再制作、再構成も含まれている。上の写真は、中央の「スペース・アイ No.4」(1975)などが集中的に展示されている一室。柔らかい光と反射、透明感、くすんだ色調が作り出す心地よい空間で、ここでゆっくりと時を過ごしたくなる。

●これは「周波数 37303030MC」(1963/東京国立近代美術館蔵)。意味ありげな周波数の数字を添えた作品がいくつもあるのだが、共通する最初の3桁「373」は「美波」だろうから、さしたる意味はないのかも。「373」に続く「03030」は「オッサン、オサレ~」だろうか(きっと違う)。

●これは床に大きく広がる「オートシンクローネ」(1973/2026)。10×10のユニットの集合体で、それぞれにポコッとした半球状のふくらみがある。水泡のような、気泡のような。半球に周囲の像がさまざまな模様で映りこむ。オリジナルは現存せず、残された型と設計図から再制作されたそう。無機的な質感から有機的なイメージが立ち昇ってくるおもしろさ。

●初期の絵画なんだけど、なにを描いているか、わかるだろうか。ぱっと見、工場とか鉄塔のイメージか。正解は変電所。1950年代に変電所を題材にした絵画をいくつも描いていたという。当時の変電所は、今よりずっと存在感のあるものだったのだろう。産業と労働のシンボルか。

●天井からぶら下がっているのが、「翔」(1986/2026)。その名の通り軽やかな飛翔感が漂うが、ステンレス製で総重量360kgと聞くと、真下にいるのが落ち着かなくなる。もともとは神奈川県南足柄市市庁舎の天井に設置されていたが、近年に撤去され、今回再制作されたもの。
●多田美波作品は各地のホテルや公園、駅、劇場などにも残されている。知らず知らずのうちに目にしているわけだが、ワタシらにとって、いちばんなじみ深い場所に展示されているのは、以下の作品では。東京芸術劇場コンサートホールの1階席ロビーにある「調」(1990)。先日、サラダ音楽祭に足を運んだついでに撮ってきた。
