
●16日はサントリーホールで山田和樹指揮日本フィル。プログラムは前半が間宮芳生の二重合奏協奏曲、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番(ヴィルデ・フラング)、後半がチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。とても長いプログラム。前半、間宮芳生とバルトークは納得の組合せ。間宮芳生の二重合奏協奏曲は1966年初演の作品で、邦人作曲家への新作委嘱事業「日本フィル・シリーズ」の第16作。楽団の財産に山田和樹が光を当てる。曲名はバロック的な着想を示唆するが、聴いて思い起こすのはストラヴィンスキー「春の祭典」。バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番ではソリストのヴィルデ・フラングが無双状態。切れ味鋭く、パワフルで雄弁。微分音デモみたいな「船酔い」部分も美しく響く。ヴィルデ・フラングといえば、デビュー間もない頃にノルウェー大使館でショーケースが開かれたことがあって、インタビューの合間になにか気軽な小品でも弾くのかなと思ったら、がっつりバルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを弾いてくれたことがあった。当時、「北欧の妖精」みたいな「ゆるふわ」っぽい売り出し方をされたのに、弾いてみたらアグレッシブな肉食系だったという。今回、またバルトークを聴くことができてうれしい。今や時代を代表する名手になりつつある。ソリスト・アンコールにモンタナーのソナタ ニ短調よりジーガ・センツァ・バッソ。
●前半が終わった時点で20時半近くになった。後半、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」では、弦楽器のヴィオラと第2ヴァイオリンの位置が入れ替わって対向配置になっていたと思う。山田和樹が自在にオーケストラをドライブ。スペクタクル志向ではなく、指揮者の肉声が聞こえてくるような等身大のチャイコフスキー。テンポ操作も効果的で、たっぷり歌ったり、見得を切ったり。第1楽章、ファゴットのppppppはほとんどの場合バスクラリネットで代用されるが、スコア通りにファゴットで。とてもうまくいっていたのでは。作曲家は音色を変えて、つなぎ目を明示させたかったのだと解する。第3楽章の爆速ぶりはスリリング。ほとんど間を置かずに第4楽章に入ったのも吉。前半からそうだったが、オーケストラの響きが整然として、弦の透明感が印象的。カーチュン印の筆圧の強いサウンドとはまた違った日フィルの魅力が引き出されていた。終演は21時半を過ぎていた。あわてて帰ったので、ソロ・カーテンコールを見逃してしまった。
October 19, 2026