September 19, 2003

「グレン・グールド 27歳の記憶」

●はうう。堪能した。BSで放映していた「グレン・グールド 27歳の記憶」、はるか昔の十数年前に一度見たきりになっていたのだが、また観ることができてよかった。昔、LDでは「オン・ザ・レコード/オフ・ザ・レコード」という原題のままで出ていたと思うのだが、今は「27歳の記憶」でDVD化されている(→これね)。
●で、ピアノの前でグルグル頭部を回転させながら、歌いつつ、そして片手が空けばもう一方の手を指揮して、憑依状態で弾くグレン・グールドっつう原型が、この映像にあったことを思い出した。バッハのイタリア協奏曲第2楽章のあまりに有名なレコーディング風景っすね。ニューヨークのスタインウェイでピアノを試弾する場面も思い出したし、「ウェーベルンがシャイな音楽? シャイな音楽ってのはこれだよ!」といってシューベルトの交響曲第5番を弾くのも思い出した。なんか、ワタシの頭では後半からカラー映像になる気がしてたんだけど、全部モノクロなんすね。時間も1時間しかない。でもこれは絶対に観ておいたほうがいい。
●で、個々の場面を見るとたちまちに自分の記憶が鮮明に甦ってくるのだが、一つ、ワタシはきわめて重要なポイントを忘れていたようだ。これは、ワタシが(そしてたぶん多くの人が)最初にこのドキュメンタリーに圧倒された理由でもある。すなわち、ここにいるグレン・グールドはまだ27歳の若者だってこと。グールドだけど未グールド。映像がたくさん残っているから、晩年のグールドがすぐに頭に浮かんじゃうんだけど、ここにいるのは「カッコよすぎる変人で天才な若者」なんすよ。だから若い頃に見ると、もうインパクト強烈で絶対に忘れられない。
●ちなみにワタシらはもうグールドが何歳までどんなふうに生きて、そして死んだか、このドキュメンタリーの登場人物のだれも知らない未来を知っている。だから、ますますこの映像が感慨深い。(09/19)

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