Discの最近のブログ記事

November 13, 2008

ネオ・クラシカル・メタル系ヴィヴァルディ

●「ハーイ、ヨーイチ! 今度新しいアルバムを作ったんだ。きっとニッポンのリスナーも喜ぶと思うから、ぜひキミのウェブサイトでレヴューしてくれないかな。楽しみにしてるよ!」的な売り込みメールとかニュースリリースが見知らぬガイジンさんからしょっちゅう送られてくるんすよ、ワタシのメールアドレスに。ウチは日本語サイトだし、英語不得手だし、そもそもその手のメールの半分くらいはスパムフィルターに引っかかってる気もするし、まあいいかと思って基本スルーしてるんだけど、これは笑ったから紹介しちゃおう。
Strad To Strat II●ギタリストのKevin Fergusonさんの7枚目のアルバムがリリース。タイトルは「Strad To Strat II: Vivaldi」。ヴィヴァルディの「調和の霊感」および「ラ・ストラヴァガンツァ」からのヴァイオリン協奏曲を、エレキギターでギュンギュンと熱く弾いております。ジャケがベタにエレキギターを持ったヴィヴァルディ(笑)。サンプル音源はDebone Music のこちらで。といっても日本から買えるの、これ? iTunesでもそのうち販売予定だから、そっちのほうがいいかも。
●で、「Strad To Strat II」と題されているってことは「I」もあるわけだ。こちらは現在iTunesで販売中。パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番とかリムスキー=コルサコフ「くまんばちの飛行」とか、エレキギターでやりたい放題→「Strad To Strat」(←クリックでiTunes起動)。これでオケが本物だったらなあと思わんでもないが。「仮面ライダーキバ」の戦闘シーンにどうでしょか>テレ朝様。

October 30, 2008

秋カラヤン

カラヤン/シンフォニー・エディション●そういえば今年はカラヤン生誕100周年なのであった。こんなのが出る。Karajan / Symphony Edition。なんと38枚組で、実勢価格9000~10000円くらい。呆れるほど廉価。主にベルリン・フィルと録音した交響曲を集めていて、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームス、メンデルスゾーン、シューマン、チャイコフスキーを一通り、モーツァルトとハイドンの主だったところ、ごっそりまとめたボックスセット。「全部盛り」感、全開。トラックリストや詳細な録音データはこちらで確認可能。
●もう一つ。新宿テアトルタイムズスクエアで「カラヤン・フィルム・コンサート」。11月8日から14日までは全日、15日から12月12日まではモーニングショーのみ。最初の一週間は終日カラヤンのコンサートとオペラばかりを上映するわけで、大胆なり>テアトルタイムズスクエア。
●なんだか最近やたらと映画館でクラシックを聴く機会が増えている気がする。

September 3, 2008

ナイジェル・ケネディのベートーヴェン&モーツァルト

ナイジェル●なんとなく風貌とかに縁遠さを感じて親しめなかったんだけど、改めて新譜を聴いて驚嘆した、ナイジェル・ケネディのベートーヴェン&モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲。先にモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を聴いたんだけど、全楽章にナイジェル・ケネディ自作のカデンツァが付いてて、これがすばらしい。なんと、エレクトリック・ヴァイオリンを弾き、これにベースや管、チェンバロが加わってビートを刻む、とか自由奔放。でもこれ、奇抜だから楽しいというのではなくて、フツーは単にカデンツァに異質な音楽を持ち込んだって居心地が悪くなる。
●たとえば第1楽章だったら、このカデンツァに漂う野暮ったいユーモアみたいなテイストを耳にして、本家モーツァルトの1楽章の冒頭主題にもまっさらな目で見れば同じ味わいがあるんだと気づく、みたいな仕掛けが感じられるからワクワクできる。さらに「おおっ!」とのけぞったのはベートーヴェンの第3楽章のカデンツァ。これもナイジェル・ケネディのオリジナルで(第1楽章はクライスラー)、やっぱり途中でベースがビートを刻みはじめるんすよ。でもこれ聴いたら「あっ」と思うのは、これはまさしくベートーヴェンの第1楽章冒頭が裸のティンパニで「ビートを刻む」ことで開始されるのに呼応しているわけで、19世紀初頭に一瞬一小節だけ立ちあらわれたビートミュージック(笑)を受けて現代にカデンツァを書くならこうなるという、時空を超えたコール・アンド・レスポンスが成立している。正しい。オーセンティシティとはかけ離れているけど。こういう豊かな創意は成熟のあらわれなんだと思う、対極に原理主義みたいな未熟さを仮定すると。ジャケ裏にモヒカンでサンダーランド(かなあ?)のユニ着てるいかにもな後姿が映ってるけど(もう52歳だよ)、彼に対して漠然と抱いていたイメージがガラリと変わった。

July 9, 2008

音楽大量摂取可能時代

ラジオ「おかか1968」ダイアリーさんの記事で知った、BBC Radio3 の Performance on 3 でゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団のマーラー交響曲連続演奏会がオンエア中。期間限定だけど、これはオンデマンドで聴けるからありがたいっすね。さっそく「復活」を聴いてお腹いっぱい、すごく脂っこいものを大量に食した気がする。「復活」は大好きな曲ではあるのだが、午前中から聴くってのはどうなのか。
●当ページ右下のところにPerformance on 3へのリンクをしばらく設置。
●でもホント、聴き切れない。どれもこれも。聴くべきものが多すぎるというか、聴けるものが多すぎるってことか。CDのBOX物もすさまじい。ドイツ・ハルモニア・ムンディ50周年記念スペシャル・ボックス、50枚組とか。プッチーニ:オペラ全集、20枚組とか。あまりの単価の安さにひかれてワタシも両方とも買ってしまったが、これだけでも合わせて70枚だ。
●以前は「聴ききれないほどの膨大なライブラリー」を所有しようと思ったら、並外れた資力が必要だったけど、今はそれがほとんど要らない。CDは安いし、ネットラジオは無料だし。今からクラシック聴く人は信じられないくらいラッキー。
●えーと、ついでにグダグダと。プッチーニのオペラ全集はレーベルがSONY/BMGなんすよ。で、「妖精ヴィッリ」とか「蝶々夫人」とか「西部の娘」「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」など、結果的にマゼール指揮の録音が多くなってて嬉しいんだけど(オペラ的にはドミンゴの録音が多いというべきなのか、フツーは)、「トゥーランドット」はBMGのメータ指揮なんすよ。DVDにもなってる、あの北京の紫禁城で公演したライヴ。これがなー。どうしてSONYのマゼール指揮ウィーン国立歌劇場のにしなかったんだろか。あっ、そういえばドイツ・ハルモニア・ムンディ50周年記念ボックスのほうもSONY/BMGなのか。これ、中身はどれもこれも素晴らしいっぽくて史上最強なんだけど、通し番号がジャケ裏の右下隅に非常に小さく入っているだけなのが惜しい。箱から出さなくても見える位置に番号を入れてくれてたら嬉しかった。ま、些細なことなんだけど。

March 14, 2008

冬の旅、黄色い雨

冬の旅●以前から不思議だったんだけど、「好きな歌曲」みたいなアンケートを採ると、必ずといってもいいほど第1位がシューベルト「冬の旅」になるんすよ。もちろん名曲なんだけど、なにしろ描かれているのが孤独と絶望、死じゃないですか。作曲者が生前、友人たちに聴かせたところ、曲のあまりの暗鬱さにみんなドン引きしたっていう話があるけど、それも当然だと思う。恋に破れて疎外感とか孤独を味わっているうちはまだ「この世」側にいるけど、幻に襲われたり、墓場をうろついて安らかに眠る死者と出会ったりするのは「あの世」側なわけで、心躍る作品とはいいがたい。でもなんか琴線に触れるところがあるってことなのか、日本人には。
●いや日本人だけじゃないか。孤独を突きつめると詩が生まれる。ってことなのかもしれん。
黄色い雨●もっとも孤独な物語といえば? フリオ・リャマサーレスの「黄色い雨」だろうか。一人また一人と人々が村を去り、廃村となりつつあるアイニェーリェ村にたった一人だけ留まった男の物語だ(背景としてスペイン市民戦争があるのだが、具体的には何も言及されない)。主人公以外には死人と犬一匹しか出てこない。いや、主人公すら生きていないかもしれない。孤独と沈黙、忘却、幻想と狂気のなかで静かに死を待つ男の姿を描く。すると詩になる。「冬の旅」が「冬」であることに疑問を持つ人はいないが、「黄色い雨」を読むと、冬を終えてやってくる春こそが孤独と喪失にふさわしいと気づく。

雪は三、四日で完全に溶けた。その後、雪解け水が村に近い傾斜地の最後に残った側溝を破壊し、通りを泥水で覆い尽くした。それと同時に、家々がその切断された手足や骨をむき出しにしはじめた。あたり一面が雪に覆われている時は、昔のアイニェーリェ村と変わりないように思えたが、陽射しが以前の亀裂や荒廃ぶりだけでなく、この冬が無残にも破壊した家々を白日の下にさらけ出した。(中略) 私は以前住んでいた人たちのことを思い返しながら、そうした建物のあいだを歩きまわり、キイチゴの茂みに覆われた玄関から家の中に入り、荒れ果てた台所や部屋の中を見てまわったが、その姿はおそらく兵隊が全員脱走したか、死体に変わってしまった塹壕にひとり戻ってきた狂った将軍を思わせたにちがいない。

 凄絶な春の到来である。もっとも雪が融けて、埋もれていたものが出てくるからこその春であって、積雪しない土地ではこの光景はピンと来ないかもしれない。春になって泥水から出てくるのは何かといえば、それは幽霊なのだ。

December 17, 2007

デ・ニースへようこそ!

デニースへようこそ●あっ。このダニエレ・デ・ニースのヘンデル/オペラ・アリア集、一回聴いて、なんてすばらしいんだと感激し、もう一回聴いたら紹介しようかなと思ってCDプレーヤーのそばに積んだままにしていたら、すでにkimataさん@♯Credoで強力プッシュされてるではないですか。いやまったく、吉。プロモーションビデオ等の映像を見る前にCDで聴いたから、あとで動いている姿を見て、「えっ、こんな感じなのか」的な驚きもあったんだけど、まずこのCDだけでも十分にチャーミング。
●で、このジャケット、表だけだとイマイチなんだけど、中にも写真が何点かあって、このデ・ニース嬢ってものすごくエキゾティックで美しい。共演したウィリアム・クリスティとかアーノンクールとかがかわいい孫娘ビーム照射されて次々と爺さん転がしされてゆきそうな(←これ勝手な妄想)インパクト大で、そもそもこの人、どこの国の人かと思うじゃないっすか、このハイブリッド感、猛烈漂う容貌に。で、経歴上オーストラリア生まれのアメリカ育ちってあるんだが、両親はスリランカとオランダと知って納得。サッカー好きならきっと同じ連想すると思うけど、元バルセロナのファン・ブロンクホルスト(オランダ&インドネシア系)がパッと頭に浮かぶ。ある意味そっくり、でも現象的に全然違う、みたいな複雑な合点感。密かにファン・ブロンクホルスト応援してたけど、スペインからオランダに帰っちゃったんだよなー。じゃあ、これからはダニエレ・デ・ニースの時代だなー、と無関係意味レスな連鎖。
●来年3月、サントリーホールのホール・オペラで「フィガロの結婚」が上演されるんだけど(ルイゾッティ指揮東フィル)、そのスザンナ役で来日します、デ・ニース。まだ20代。

November 16, 2007

エンリコ・オノフリ指揮のモーツァルトが11/21にリリース!

オノフリのモーツァルト●聴いた人はきっと覚えている、昨年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で鮮烈な印象を残してくれた、エンリコ・オノフリ指揮ディヴィーノ・ソスピーロのモーツァルトを。「聴きなれた交響曲第40番がまるで未知の曲であるかのように響いた」という感想/文言それ自体がいまや消尽されてしまっている感ありで躊躇するけど、でもやっぱり言ってしまう、あのモーツァルトの交響曲第40番がまるで未知の曲であるかのように響いたんすよっ! 先が読めないモーツァルト。オノフリって誰?っていう方には、とりあえずイル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサートマスターと説明。
●で、そのオノフリ指揮ディヴィーノ・ソスピーロのモーツァルトが国内盤CDで11/21にリリースされるのだ(HARBOR RECORDS)。曲はモーツァルトの交響曲第40番とセレナータ・ノットゥルノ(こっちも相当おもしろい)。オマケとして特典DVDがついていて、オノフリ氏のかなりがっつりしたインタヴューとリハーサル風景付き。一足先に中身を聴かせていただいたが、昨年ライヴで聴いた40番そのもの。ブックレットでオノフリ自身が述べてるんだけど、彼はモーツァルトをシュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)の風潮から生まれたものとして見ている。ウィーン古典派のアポロン的な優美な存在じゃなくて、C.P.E.バッハの直後に書かれたアグレッシヴな音楽。「そんなの今さら新しい知見でもなんでもないよ」と思われるかもしれないけど、題目唱えるだけじゃなくて、音楽として実現して、まっさらな状態で出会った聴衆を虜にしちゃう人はそういない。昨年はなにひとつ知らずに聴きにいって腰抜かしたもんなあ。あ、そのときも書いたけど、こういう音楽に出会うたびに、いかに「既知のもの」として片付けずに何度でも驚けるかってのが個人的にきわめて重要。
●ちなみにオノフリは来年1月、浜離宮朝日ホールのヘンデル・フェスティバル・ジャパンに来日して、「水上の音楽」と「戴冠式アンセム」を指揮してくれる。公認ファンサイトができているので、詳細はそちらへ。

エンリコ・オノフリ ファンサイト

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