March 9, 2004

「恐怖」 筒井康隆

恐怖●しばらく前にN響アワーのゲストとして筒井康隆が呼ばれていた。画面のなかに池辺晋一郎さんと筒井康隆が収まっている構図がなんだかスゴくて、絵柄の全然違う漫画家が描いた二大人気キャラクターを共演させた企画みたいに見えたんである。風貌云々じゃなくて、天才二人は一画面に要らないっつうか、会話ぎこちないつうか。
●で、文庫新刊の「恐怖」(筒井康隆/文春文庫)。主人公の作家の住む姥坂市で連続殺人事件が起こる。どうやら犯人のターゲットは市内の文化人。次に殺されるのはオレなのか。メタミステリー的な遊びの要素もあるけど、恐怖におののく作家の妄想には何年か前の老人小説の傑作「敵」との共通項も多い。筋立てとはほとんど無関係な「薔薇の少女」が最後に登場し、ロマンスの可能性をかすかに示唆するのだが、これは「あったかもしれないしこれからあるかもしれない最大の恐怖」への入り口なんだろう。これはこれで十分に堪能したけど、未読ならまず「敵」を先にオススメ、強く。
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●と、書きつつもだな、今、新たなPC環境を構築するために悪戦苦闘中(時間が足りねえー)。しょうがないので、モニタやらメモリやら使えるものは引き続き再利用することにして、とにかくPC本体だけは激安ショップブランド品(ていうの? お店で組み立ててくれるヤツ)を急遽調達。またその話は後日にでも。

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