November 1, 2007

クラシックでわかる世界史(西原稔著)

クラシックでわかる世界史●新しい出版社アルテスパブリッシングの「村上春樹にご用心」(内田樹著)に続く第2弾は、「クラシックでわかる世界史」(西原稔著)。クラシック者は大雑把な音楽史年表みたいなものはなんとなく頭に浮かべられるし、物事はこんな順番で進み、発展したという音楽史観をその人なりに抱いていると思うんだけど、ついつい歴史を音楽の世界の中だけで完結させがちだったりする。音楽の世界の一歩外を出たときのヨコの関係がイマイチ見えない。でも音楽史を動かす原動力は芸術家の創作意欲ばかりじゃなくて、その外側にある社会の枠組み、政治や経済、宗教によるところが大きいわけで、まだ読み始めたところなんだけど、この本は世界史と音楽史をあちこちの重要ポイントでピタッと連結させてくれそうなんである。たとえばウィーン時代のベートーヴェンのパトロンというと、ボヘミアとかハンガリー、ロシアなどに領地を構える貴族たちやオーストリアの財界人たちが多く、ハプスブルク家皇帝の名前が挙がらない。どうしてそうなったのか。ってことがすっきりと腑に落ちる。オススメ。

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