February 8, 2009

「天地創造」

●金曜夜はブリュッヘン指揮新日本フィルでハイドン「天地創造」(すみだトリフォニーホール)。マリン・ハルテリウス(S)、ジョン・マーク・エインズリー(T)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(Bs)、栗友会合唱団。合唱だけで100人以上いたんじゃないだろか、「ブリュッヘンのハイドン」だと思ってるからなんだけど、スゴい大曲だと感じる。神様が天地を創造しようっていうんだから、これくらいのパワーは必要なのか。弦14-14-10-8-6。ステージが超満員状態になっていたのにはもう一つ理由があって、なんと指揮者正面にチェンバロとフォルテピアノが両方入っていた。90度ずれた位置に配して、一人の奏者(渡邊順生氏)で両方弾けるようになってる。横を向いてチェンバロを弾いていたなと思ったら、レチタティーヴォになるとささっと正面を向いてフォルテピアノでチェロと一緒に伴奏する。なんだか舞台中央の鍵盤楽器面積率が異様に高い状態になっていた。これはブリュッヘンの希望でそうなったという話。
●ブリュッヘンはさらに老いていた、たぶん前回前々回の来日にも感じたように。座って指揮するんだけど、指揮台に上るのも大変そうでハラハラする。でも、1934年生まれってことは74歳か。ブリュッヘンと18世紀オーケストラが最初に来日したのは1988年くらいだっけ? その時点でもう白髪の老人だと思っていたんだけど、それって錯覚なのかなあ。20年近く経ってるのに、ブリュッヘンは時の流れを超越しているみたいに見える。ハイドンもそんな感じだったのかもしれん。ずっと年下にモーツァルトという天才が出現して、世を席巻するんだけど30代で早世して、結果的にハイドンのほうが未来を生きちゃう。晩年に時の流れを超越して、世界の創造を描く。
●以前のブリュッヘンは猫背の後姿から暗褐色の内向きの情念みたいなのが沸々と湧き上がってきてたのに、今はもう魂だけで音楽作れます、光あれ、みたいな感じに神様化していた。昔はフォースの暗黒面入ってたのに、すっかりジェダイ。
●で、翌日、土曜日。NHKホールでラドミル・エリシュカ指揮N響を聴きに行ったんだけど、1931年生まれの老匠なのに猛烈に元気、音楽が。生命力にあふれたスメタナ「わが祖国」全曲で、ある程度以上になると年齢の数字なんて本当に意味レスと痛感。
天地創造●「この世」を描写した名曲の中で、もっとも歴史的に古い場面を描いた音楽はどれなんだろう、という問いに対して、ハイドン「天地創造」っていうのは正答だろう。神様が天と地を創る前の混沌の描写まで入っているんだから。ミヨーの「世界の創造」という選択肢もあるが、世界が生まれる前までは含まれてないだろうし。でも、神様が世界を創ったとするなら「天地創造」最強だけど、人間が神様を作ったという立場で見ると神様以前さらに人間以前にも世界はあったわけだから、ヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」のほうが古い。惑星が回転しながら固有の音を発して、太陽系全体がハーモニーを奏でる。宇宙には天体の音楽が鳴り響いてるんだけど、ワタシらは生まれた瞬間からそれを聴いているから、これを知覚できない(笑)。ってピュタゴラスだっけ。これは恒星と惑星が誕生した瞬間から存在するわけだ。でもまあ、もし誰かが交響曲「ビッグバン」とか書いてたら、現代宇宙論的にはそれが「天地創造」の瞬間だ。ていうか、レイフ・セーゲルスタムあたりが書いててもおかしくなさそう気もする>「ビッグバン」交響曲。

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【2009年2月7日(土) 15:00~ すみだトリフォニーホール】 ●ハイドン:オラトリオ《天地創造》 Hob.XXI-2 →マリン・ハルテリウス(... 続きを読む

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