March 13, 2009

「ヤバい社会学」(スディール・ヴェンカテッシュ著)

「ヤバい社会学」●たしかにこれはヤバい→「ヤバい社会学」(スディール・ヴェンカテッシュ著/東洋経済新報社)。早く寝なきゃいけないのに寝床で読み出すと止まらない。郊外の中流家庭に生まれシカゴで社会学を学ぶ当時大学院生の著者が、研究のために大学のすぐそばにある貧困地区に足を向ける。そこは学生が「あのあたりには決して立ち入らないように」と注意されるような「アメリカ最悪のゲットー」。ギャングと自治会がコミュニティを取り仕切っていて、中で何かが起きても警察も救急車もやってこない。というか警察が来るときはギャングよりも怖いことになるという無法地帯。が、本当は無法地帯じゃなくて、ギャングの世界にはその世界なりの法や秩序があって、社会は成り立っている。それを著者は自らギャングのリーダーと「つるんで」明らかにしてゆく。原題は「一日だけのギャング・リーダー」。
●出てくる若い男はみなギャング、若い女はみなシングルマザーの売春婦。そんな印象を受けるほど想像を絶した社会なんだけど、ここで著者は自分の立ち位置を見つけて定着してしまうところがスゴい。地下経済ノンフィクションでもあり、インテリとギャングの妙に落ち着かない友情物語?にもなっている。著者がインド系ベジタリアンというのも、なんだか不思議な対照を成していて吉。

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