October 27, 2009

パーヴォ・ヤルヴィ/シンシナティ交響楽団@NHKホール

パーヴォ・ヤルヴィ/シンシナティの「新世界」●昨夜はパーヴォ・ヤルヴィ指揮シンシナティ交響楽団@NHKホール。最近はオケがツアーに出るとツアー・ブログみたいなのができることが多いから、きっとあるだろうと思って彼らのサイトを見たらやっぱりあった。CSO Japan Tour 2009。シンシナティ交響楽団もCSOなんすね、シカゴと同じく。
●NHK音楽祭の一公演ということでFM生中継&TV収録あり。コープランドの「市民のためのファンファーレ」、バーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」からシンフォニック・ダンス、ドヴォルザークの「新世界より」というアメリカ(?)プロ。ブラス・セクションが強力で、あの巨大なNHKホールにスコーンと突き抜けるような明るいサウンドを充満させた。うわ、この人たち、肉食だな、みたいな。これは日本にはないなあ、すなわちニッポン代表がオーストラリア代表とかドイツ代表とかとハイボールで体ぶつけて競り合ったときの感じ(なにそれ)。
●バーンスタインってスゴいっすよね。存命中は指揮者としての存在感があまりに大きかったからそうは感じなかったんだけど、今になってみると完全に作曲家として「クラシック音楽」のなかに作品を残している。「ウエスト・サイド・ストーリー」もこの日のアンコールの「キャンディード」序曲もそうだけど、次々と「みんなが知ってるメロディ」が出てくるって偉大。マーラーやR・シュトラウスみたいに、後世からは「当時指揮者としても活躍した作曲家」と呼ばれるんだろうか。20世紀後半のクラシック音楽として。マーラー、ショスタコーヴィチ、次はバーンスタインみたいな交響曲史観とか?
●この音楽祭って毎年テーマがあって、今回は「故郷(ふるさと)の名曲」っていうことで、いわゆる「お国モノ」が並ぶんすよ。で、コープランドとバーンスタインはいいとして、「新世界」。それはアメリカっていうかボヘミアだろみたいな気もする、ひとまずは。あと、他の公演だとライプツィヒ・ゲヴァントハウスがシャイーの指揮でバッハのピアノ協奏曲(もちろんモダンピアノ)をやるんだけど、これなんかもピリオド楽器復興後の今から見ると「そこ遡ってもふるさとのバッハにたどり着かないし」感がある。でも、じゃあシンシナティの「新世界」つまんないかというと、これが猛烈に楽しい。ビバ「ふるさとの名曲」。「お国モノ」ってのはオーセンティシティじゃないんすよね。たとえるなら「ナポリタン」。ナポリにそんな食い物はないだろうし、きょうびの「パスタ」のメニューには入らないけど、食べたら絶対に美味いという昭和の味。これこそNHKホールにふさわしい。あのNHKホールの「売店」みたいな昭和の落ち着いた雰囲気ってステキじゃないですか、お菓子とか売ってて。サントリーホールや新国立劇場には決して設置されないであろうポッキーの買える「売店」。これは一見出遅れているようでいて、実はもうしばらくすると先頭を走ることになる「新しさ」なんじゃないかとワタシは予想してる。本気で。

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たまに海外へクラシックを聴きに行くブログ。 - 都こんぶでアメリカ音楽 (2009年10月27日 13:08)

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