November 4, 2010

メッツマッハー祭り

来日中のウィーン・フィル団員、富士山で滑落死。コントラバスのゲオルク・シュトラッカ氏(41)。絶句。ご冥福をお祈りいたします。
●一昨日はインゴ・メッツマッハー指揮新日フィル(サントリーホール)。メッツマッハーだし、しかもカール・アマデウス・ハルトマンの交響曲第6番を演奏するということもあって注目していたのだが、これが圧倒的なすばらしさ。ブラームスの「悲劇的序曲」、ハルトマンの第6番、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」というプログラム。ハルトマンの曲は第1楽章冒頭がファゴットのソロで導入され、彼にとっての第6=悲愴ということで、これは悲劇三部作といったプログラムなんだろう。マーラーの交響曲第6番「悲劇的」を取り上げる別プロとも対応する選曲。
●メッツマッハーはどれも指揮棒を持たない上に、すごくわかりにくそうな指揮ぶり。でもオケに対する影響力は絶大で、最初のブラームスから深みのある美しい響きを引き出していた。ハルトマンは打楽器&鍵盤楽器パートが猛烈に大編成で、フーガ主題を変奏するトッカータの第2楽章は超アグレッシブ、すさまじい音響の洪水を作り出す。ここまでの前半が終わった時点で、客席は(空席も結構あったんだけど)大盛り上がり。カーテンコール、何回あったんだろう。後半の「悲愴」もスタイリッシュで端正な音楽作りなんだけど十分に情感豊か。カッコいい。第3楽章はかなりテンポ速めで危険水域に近づきかねない前のめりなマーチ。ここで最強に音楽が高潮すると、メッツマッハーが「イチ、ニ!イチ、ニ!」ってリアル行進するみたいなプリティすぎるポーズを見せてくれたんすよ! ああっ、なんというハッピーな眩暈。ラブリーだよ、オッサン。第3楽章終わって即座に第4楽章に入るのも効果的だったし、演奏終了後の客席の沈黙も完璧。
●Twitter上でも盛大にメッツマッハー祭りになってた(ワタシの読める範囲では)。同じように話題性のありそうな演奏会でも、お祭りになる演奏会とぜんぜんそうならないものがあるんすよね。謎。いや謎でもないか。

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