January 26, 2012

上岡敏之指揮読響のモーツァルト&マーラー

●昨晩は上岡敏之指揮読響定期へ(サントリーホール、25日)。モーツァルトの交響曲第34番ハ長調とマーラーの交響曲第4番(キルステン・ブランク独唱)。大らかでロマンティックなモーツァルト。指揮は踊るよう。左手で背後のバーをつかんで右手の指揮棒を第一ヴァイオリンに向かって差し出すと、片足がぴょこんと上がる。近くに座っていたおばさまが「あら、おっほっほっほっ」と小声で笑った。いいじゃないすか。
●後半のマーラーは期待通りの?上岡節が炸裂。自在に動くテンポ、頻出するポルタメント、ピアニシモの強調。ほかの誰からも聴けない独自のマーラー。おもしろい。第3楽章の終わり、ゆっくりゆっくり静かに終わって、すぐに第4楽章に入らずに普通の楽章間のように間を置いた。
●現在のスタンダードからはかなり距離があるから「変わっている」と感じるが、マーラー当人がメンゲルベルクによる指揮を高く買っていたのだとすると、なにがオーセンティックでなにが異端なのかはわからない。
●テレビ入っていたので、いずれ日テレで放送するかと。
●マーラーの第4番。真摯で美しい曲だけど、グロテスクで怖い曲でもある。第1楽章冒頭の鈴は「かわいい」じゃなくて、「怖い」。R・シュトラウスは「なんちて」が付く作曲家だけど、マーラーは常に「マジ」。マジな人のユーモアは怖い。R・シュトラウスだったら「ティル」でも「ドン・ファン」でも最初の数小節で愉快な気分になり「ワッハハハハハ」と笑える。「死と変容」みたいにマジメくさっても「ふふふ」と笑える。マーラーが笑うと怖い。泣いたりわめいたりしてくれているほうが安心できるタイプ。

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