May 14, 2012

ロウヴァリ指揮東京交響楽団、マンチェスター・シティvsQPR

●「今季のマリノス終わってる」みたいなことを書いたら、トントントーンと奇跡の4連勝。引き分けのあるサッカーで、下位チームが4連勝というのは相当まれ。降格争いを覚悟してたら一気に9位までジャンプアップ。嬉しい。近年の定位置に戻っただけともいえるが……。
●11日(金)はオペラシティでロウヴァリ指揮東京交響楽団。お目当てはヴィルデ・フラング独奏のニールセンのヴァイオリン協奏曲だったが、まさかの事態が。開演前に大野楽団長がステージにあらわれ、ヴィルデ・フラングがゲネプロ後に腹痛と吐き気に襲われてダウンしたため、今日はニールセン抜きで演奏会を行なうと発表。直前のダウンで、しかもニールセンでは代役の見つけようもない。シベリウス「フィンランディア」の後、10分の休憩をはさんでシベリウスの交響曲第1番というショート・プログラムみたいな構成になった。払い戻し希望者は半券と連絡先を提出することに。
●ニールセンが聴けなかったのは残念だが、公演はとてもよかった。フィンランド出身のロウヴァリという若者がおもしろい。1986年生まれ、両親ともラハティ交響楽団のメンバーで、今年LAフィルからドゥダメル・フェローシップ・プログラムに招かれている一人。勢いがよくて、骨太で重厚なシベリウス。非常事態から公演を救おうとするオーケストラの真摯な気持ちと合わさって、熱波が客席までムゴムゴと押し寄せてきた。ロウヴァリのキャラはキュート。天真爛漫で、イケメンというよりはかわいいタイプ。盛んなブラボーに対して、客席に手のひらを向けて両手をヒラヒラと振って応えたところで場内に笑いが。なんという愛嬌。女子ならうっかり求婚してしまうレベル。
●それにしても、こんな風に一曲カットになって早く終わるコンサートって記憶にない。ライブはなにが起こるかわからない。
●ちなみに翌日の同プロの公演でもニールセンはキャンセルになり、急遽代わりに上原彩子独奏でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が演奏された模様。ヴィルデ・フラングは16日に白寿ホールでのリサイタルもある。早く回復してくれますように。
●さて、ここからサッカーの話(と宣言する親切仕様)。イングランドのプレミアリーグ最終節。NHKで生中継してくれた。マンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッドが両者驚異的な勝点を積み上げて、最終節までもつれた状況。一時はもうユナイテッドで決まりかという雰囲気だったが、最終節に至って勝点で並び、得失点差でシティがリードする展開に。マンチェスター・シティはホームでQPRと対戦。事実上シティが勝てば優勝が決まる試合だが、相手のQPRもボルトンと残留争いをしていて必死という状況なので、本来の戦力差なんて関係ないっていうくらい猛烈な激戦になる(人は尻に火が付くとどこまで無敵になれるのか……恐ろしい)。
●前半39分にシティはサバレタのゴールで先制。しかし後半3分、レスコットがヘディングでのバックパスを相手のシセに渡してしまう手痛いミスを犯し、シセが同点ゴール。後半10分にはQPRのバートンが相手の挑発に乗ってしまったのか暴力行為で一発レッドで退場(レッドカードが出た後、さらにアグエロだったかに膝で蹴りを入れていた)。これで試合はぶち壊し、一人多いシティが楽にリードを奪うだろうと思われた。ところがここからのQPRがスゴい。なんと、後半21分、カウンターからジェイミー・マッキーがゴールを決めて、一人少ないQPRが逆にリードしてしまった。シティのディフェンスが戻るべきどころで戻らなかった、まるで次のゴールは自分たちだと決めてかかっていたかのように。
●ユナイテッドのほうはリードしていたので、シティは逆転しない限り優勝できない。全員で守るQPRを相手にひたすら攻めに攻めたが、GKケニーの好セーブ連発もありどうしてもゴールが奪えない。そのまま1-2でロスタイムに入った。先に試合を勝利で終えたユナイテッドの選手たちは、おそらくこの時点で優勝を確信していたはず。
●しかし後半47分になってジェコが同点ゴールを決め、そして49分、途中投入のバロテッリのポストプレイからアグエロが切り込んで逆転ゴール。ロスタイムに2ゴールを奪い、44年ぶりの悲願の優勝を果たした。サポの爆発ぶりは尋常ではない。試合終了のホイッスルとともにピッチ上にファンがなだれこみ、だれが選手でだれがサポなのやらわからないカオスに。ピッチ上でへなへなと座り込み恍惚とした表情を浮かべるオッサンとか、号泣する若者とか。ただ、イングランドすげえと思ったのは、その後、表彰式になったらきれいさっぱりピッチから人はいなくなってて、滞りなくセレモニーが執り行われたところ。44年前の優勝メンバーが今のチームを迎える演出とか、泣かせる。
●ちなみに恐るべき逆転劇を食らったQPRは、試合終了の頃にはケロッとしていた。というのもライバルのボルトンが引き分けたのが選手にも伝わったようで、さっきまであんなに死闘を繰り広げていたのに、逆転された直後のキックオフは「もう試合は終わってるよ」みたいに相手のエンドにただ蹴りいれるだけ。結局、両者望みのものを手に入れたわけだ。

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