November 22, 2012

ピエール=ロラン・エマール~ル・プロジェ エマール2012 I

●21日はピエール=ロラン・エマールの「ル・プロジェ エマール2012」へ(トッパンホール)。リサイタル2公演の間にレクチャー1回をはさむという3日間のシリーズ。リサイタルIはクルタークの「遊び―ピアノのための」より7曲、シューマン「色とりどりの小品」Op.99より9曲、クルターク「スプリンターズ」Op.6、ドビュッシーの前奏曲集第1巻というプログラム。以前の「コラージュ─モンタージュ」のような寄木細工仕様にはなっていないけど、今回も小品集を集めた小品集・集というかメタ小品集とでもいうべきミクロコスモス無双。
エマールのドビュッシー●前半のクルターク~シューマン~クルタークは間を置かずに続けて演奏して、急−緩−急ならぬモダン−ロマン−モダンの三部形式のように一気に聴かせる。既存作品の組み合わせに新たなコンテクストを付加しようという点では、「コラージュ─モンタージュ」に継続するシリーズといえる。前半クルタークからシューマンに移行するときに感じる眩暈が、後半ドビュッシーの前奏曲集のたとえば「西風の見たもの」→「亜麻色の髪の乙女」と続く瞬間にも感じられて、見知った風景を初めて来た場所のように思わせる。ピアノの響きは多彩で、くっきりと鮮明。すなわち異なるキャラクターが集められた柄物をぜんぶいっしょに扱ってもすっきりときれい、しかもぜんぜん色落ちしない。それがエマールの洗浄力。(←それ去年も書いてないか?)
●アンコールは3曲。先日亡くなったエリオット・カーターが100歳で書いたFratribute(フラトリビュート)、リゲティの練習曲集第2巻から「魔法使いの弟子」、ハインツ・ホリガーの「エリス」。楽しい。曲目的には本編もアンコールも交換可能だと思うんだけど、やっぱりアンコールのほうが楽しく感じられるのは、なにが出てくるかわからないっていう福引き的な遊戯性ゆえなのか?

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