ドミノ・ピザ
January 14, 2013

「解錠師」(スティーヴ・ハミルトン著)、「二流小説家」(デイヴィッド・ゴードン著)

解錠師●気軽に読めて、おもしろい小説をと思い、安直だけど「このミステリーがすごい! 2013海外編」第1位の「解錠師」(スティーヴ・ハミルトン著/ハヤカワ・ミステリ文庫)。ある事件を機に声を失ってしまった孤独な少年が、解錠と絵を描くことの才能によって、世界を広げてゆく。金庫破り小説であり、同時に青春小説でもあるという趣向が異彩を放っている。読ませる。錠前破りの記述がしっかりしているのが吉。
●全体としては甘口で、スティーヴン・キングの中篇「刑務所のリタ・ヘイワース」(映画「ショーシャンクの空に」の原作)を思い起こしながら読んだ。この「解錠師」も映画化向きでは? そして、「刑務所のリタ・ヘイワース」が「ショーシャンクの空に」への映画化で(肝心な部分が)さらに甘口になったように、この「解錠師」もいちだん砂糖をまぶす余地があるかも。少々設定も甘いのは、ストーリーテリングの才に長けているので許せる。
二流小説家●「このミス」海外編1位といえば、前年の「二流小説家」(デイヴィッド・ゴードン著/ハヤカワ・ポケット・ミステリ)は抜群の傑作だった。こちらは辛口。冴えない中年作家が連続殺人犯の告白本の執筆依頼を受けてチャンスとばかりに飛びつくが……というストーリーで、犯罪小説でありダメ男小説であると同時に、しかも「小説をいかに書くか、について書いた小説」という自己言及小説でもあった。あくまでジャンル小説でありながら、ポストモダンでもある(ってのは大げさか)という二重性を実現した技巧に舌を巻く。ジャンル小説に対する愛情と含羞がないまぜとなっているオタク性にも共感できる。こんなに秀逸なのにamazonの評価が意外と厳しくてびっくり。謎すぎ。
●しかし最近、なにも読めてないなあ。もう少しどうにかしたい。

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