ドミノ・ピザ
October 30, 2013

「グラゼニ」(森高夕次、アダチケイジ著)

「グラゼニ」(森高夕次、アダチケイジ著)●この「グラゼニ」っていうマンガは猛烈におもしろいっすね。日頃野球も見ないしマンガ読みでもないのだが、これは第1巻から全部読んでいる。ちょうど最新刊第12巻が出たところ。
●一応、野球マンガということになるんだろうけど、より正しくは野球業マンガというべきか。普通の野球マンガとはぜんぜん違う。高卒プロ入り8年目の中継ぎ投手という地味な主人公を設定し、野球で生計を立てる人々を描く。トップレベルの選手よりも、一軍と二軍を往復するような選手や、来季の契約があるかどうかわからない選手、引退して懸命に「次の仕事」に取り組む元選手、あと一歩でプロに入れなかった人、入ってもすぐに辞めた人、メディアで働く人たちに光が当てられた職業人マンガ。厳しい世界が描かれているんだけど、タッチは軽快で、笑いもあり、楽しく読めてしまう。取材力の高さといい、ストーリーテリングの巧みさといい、秀逸。
●プロスポーツの世界を仰ぎ見る感じもある一方、登場人物たちへの共感度も高い。これって自営業マンガというかフリーランスマンガ、あるいは有期雇用マンガでもあるんすよね。来年の仕事が約束されていないっていうのはこういうことなんだよなあというリアリズム満載。最新刊では戦力外になったところを拾ってもらった松浪っていう投手が出てくるんだけど、力が衰えてきて二軍にいるところで、幼かった息子がだんだん野球がわかる年齢にまで育ってきて「僕のお父さん、プロ野球選手」という意識に目覚めるあたりの話とか、実にいい。

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