February 26, 2014

クレメンス・シュルト&読響、インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル

●21日はサントリーホールで読響定期。指揮はクレメンス・シュルトというドイツの新鋭で初めて。リゲティ「ルーマニア協奏曲」、ブルッフのヴァイオリン協奏曲(独奏はセルゲ・ツィンマーマン)、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」というプログラムで、「コンチェルト尽くし」になっている。冒頭に、先日亡くなった元常任指揮者ゲルト・アルブレヒトを追悼してバッハの「G線上のアリア」が演奏された。シュルトは長めの指揮棒を用いて、しなやかに手首を使って(まるでクライバーみたいに)棒の表情が雄弁。それが効力を発していたかどうかは別としても、切れ味鋭いリゲティと語り口豊かなバルトークを満喫。セルゲ・ツィンマーマンは以前聴いたベートーヴェンが微妙だったんだけど、今回は情感たっぷりの堂々たるブルッフ。美音。
●25日は白寿ホールで、ICEことインターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル。ICEはアメリカの現代音楽アンサンブル。総勢33人の器楽奏者で構成され、ソロから大編成まで、2001年の創設以来500作品以上を初演しているのだとか。今回はフルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット、パーカッションの5名で来日。藤倉大作品を中心に、ジョン・ゾーン、ポーリン・オリヴェロス(「13の変化」)も含めたプログラムが組まれた。途中でエル・システマジャパンの「藤倉大作曲教室」にて作られたという小学生の作品が何曲か演奏されるということで一抹の不安を覚えたんだけど、これは杞憂、どれも大人の敷いたレールに沿うことを強要されていない子供の自由な発想が生かされた曲だった。ジョン・ゾーンのフルート、クラリネット、ドラムのための「テンペスト」に笑う。最後に演奏された藤倉大「ミニーナ」は清新で溌剌として、愉悦に満ちていた。すっかり爽快な気分に。オリヴェロス作品以外はすべて00年代後半以降に書かれた、本当の現代の作品。

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