April 2, 2014

東京・春・音楽祭のコルンゴルト

東京・春・音楽祭●31日は上野学園石橋メモリアルホールで「E.W.コルンゴルト ~二つの世界の狭間で~ ウィーンからハリウッドへ、20世紀を生きた『最後の神童』を聴く」という長い副題のついたコンサート。つい先日、コルンゴルトのオペラ「死の都」の実演に接することができたばかりだが、今度は彼の歌曲から室内楽まで多彩な作品を聴くことができた。「死の都」が新国立劇場とびわ湖の東西両方で上演されていることと合わせてコルンゴルト・イヤーになってるんだけど、別の記念の年ってわけじゃないんすよね。これでLFJのテーマがナントと同じ「アメリカ」だったらゴールデンウィークにもコルンゴルトを聴けたかも(ナントではニコラ・ベネディッティがヴァイオリン協奏曲を弾いていた。にもかかわらず、どうしても裏番組を優先しなければならず聴き逃してしまった……トホホ)。
●なにしろ「死の都」が23歳という早熟ぶりなので、16歳で着手したオペラ「ポリュクラテスの指環」冒頭部分など、10代の作品もいくつも演奏された。「死の都」からはやはり「マリエッタの歌」。おおむね作曲年代に従って演奏される趣向で、聴きごたえのあったのは(他の作品が細切れだったせいもあるけど)後半の弦楽四重奏曲第3番ニ長調op.34。1945年、終戦後コルンゴルトが映画音楽から純音楽へと立ち返ろうとした時期の作品。映画音楽のモチーフを用いつつ古典的な楽章構成で、とりわけ緩徐楽章にあたる第3楽章が美しかった。演奏者陣はストリング・クヮルテットARCO、天羽明惠(S)、又吉秀樹(T)、村田千佳(p)。非常に充実。
●で、この公演は「レクチャーコンサート」というべきスタイルになっていて、企画構成の中村伸子さんが合間合間にトークを務めた。コルンゴルトになじみの薄い人にとっては心強いガイドになる。企画者自身がトークをするということで、すでにあるプログラムにトークが付いたというのではなく、最初からトークの内容と一体になって曲が選ばれているという周到さが印象的だった。トークのスタイルは「書き言葉で話す」。明瞭で明快。大変な大役だったと思うけど、終始落ち着いていてまったく立派。
●こういう舞台上のトークって、だれでもできるかといえばできないんすよね。ていうか、普通はできない。人前で話すといっても、授業とか講演とか発表なら「自分の話を聞きに来た人」が相手だけど、コンサートでのトークの場合は「音楽家の演奏を聴きに来た人」が相手なので、格段にハードルがあがる。

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