October 9, 2014

ピエール=ローラン・エマールのバッハ/平均律クラヴィーア曲集第1巻

●一昨日に続いて紀尾井ホールへ。ピエール=ローラン・エマールによるバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲。強烈な印象を残す演奏会だった。予想していたより、ずっと自由で、なおかつ気迫のこもった「魂のバッハ」。もちろん、モダンピアノで弾く以上、ダイナミクス等で一定の抑制はあるわけだけど、自分の設定した枠を目いっぱい使って迫真のドラマを描き出したという感。この曲集、演奏会で前から順番に全曲を聴くための作品だとはまったく思えないし、一回の演奏会には少し長すぎるかなと危惧していたんだけど(休憩はあった)、実際に聴いてみると後半に入って残りが一曲少なくなるにしたがって「もう終わるのか」と惜しい気持ちになった。骨太かつ綿密。明晰さを保ったままであれだけ多彩で力強い情感を表出できるとは。長さも厳粛な儀式の雰囲気を作り出すという点で有効に働いていた。
●エマールは知的なピアニストという分類だけど、思えば実演で接したのはみんな「魂のバッハ」「魂のアイヴズ」「魂のラヴェル」だったような気がする。
●この日の夜は皆既月食。満月が地球の影に入る。開演前、多く人がホールの前で夜空を見上げていた。その様子を見て、へー、だれか有名人でもいるの?それともクリスマスツリーでも飾ってあるの?とか思った自分はどうかしている。

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