October 15, 2014

ゲルギエフ指揮マリインスキーのショスタコーヴィチ交響曲第8番

●ニッポン代表のブラジル戦は録画で観戦することにして、14日はサントリーホールでゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団。前半にネルソン・フレイレ独奏によるブラームスのピアノ協奏曲第2番、後半にショスタコーヴィチの交響曲第8番。今回のツアー、9日から18日まで、13日を除いて連日公演があるのだが、ショスタコの8番はこの東京公演のみ。今日は気合を入れて鬱になろう!と背筋を伸ばして臨む。
●前半はフレイレのソロが聴きもの。十分にパワフルでありながら明るく華やか。アンコールにグルック~ズガンバーティ編曲の「オルフェオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」。オケは後半から本調子に。ダイナミズムにあふれた雄弁な語り口に、ペシミスティックな作品世界を存分に堪能。管楽器のソロも好調。期待通りに鬱。ほのかに光がさす第5楽章にも救いは感じられない。息苦しい終末感とともに曲を終えると客席全体が沈黙。一分以上の静寂が続いたんじゃないだろうか。この沈黙もやりすぎると「いったいだれが最初に拍手するんだ問題」が発生するわけだが、この曲であれば拍手したくなくなるのもわかる。そのまま拍手せずに静かに解散……とはさすがにならなくて、アンコールにワーグナーの「ローエングリン」第1幕への前奏曲。
ショスタコーヴィチ●譜面台にアンコール用の楽譜が配られていたのでなにかを演奏するのはわかっていたが、はたしてショスタコーヴィチの8番の後になにを演奏できるのか?と思っていたら、まさかこんな選択肢があったとは。これがとても効果的でゾクッと来る。リアリズムに即して描かれた希望なき世界の果てに、白鳥の騎士のファンタジーがやって来るという展開が最強に鬱。そういえば、第1楽章の長大なイングリッシュホルンのモノローグに「トリスタンとイゾルデ」第3幕を思い出したのだった。第3楽章は「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第2幕終場の暗黒版ではないだろうか。
●終演は予想外に遅く、21時50分。ゲルギエフの指揮棒は短いけど爪楊枝よりは長くて、串くらいの感じだった。ていうか、どう見ても串。指揮串。
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●先週末はNHK Eテレ「らららクラシック」のQ&Aコーナーにふたたび出演させていただいた。剛勇。

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