January 7, 2015

「アナと雪の女王」と「キャリー」

アナと雪の女王●ようやく観た、映画「アナと雪の女王」。もう語り尽くされている作品なので屋上屋を架すこともないが、本当によくできている。そして、昨年映画館で見た同じくディズニーの「マレフィセント」と驚くほど同質の物語になっていた。一昔前ならお姫さまは白馬の王子さまを待つばかりの主体性のないヒロインにすぎなかったが、今や姫は自力で自分の生き方を決め、自分の考えに従って世界と関わってゆく。王子さまなど不要、むしろ邪悪な存在ですらある。まったくもってうなずける古典のバージョンアップ。「マレフィセント」のほうがいくらか対象年齢が上の分、男に対する視線は辛辣になっている。正しい。
●とはいえ「アナと雪の女王」と「マレフィセント」はかなりネタがかぶっていて、「真実の愛」を探し求めるくだりはまったく同じといっていいほど。これをよく同時期に公開したなとは思った。
キャリー●「アナと雪の女王」でひとつ連想したのは、「キャリー」。スティーヴン・キングの処女作で、ブライアン・デ・パルマ(1976)とキンバリー・ピアース(2013)の監督で2度映画化されている(後者は未見)。「キャリー」では抑圧された思春期の少女が、限界にまで追い込まれることで超常的な力を爆発させて、惨劇を引きおこす。「アナ雪」でエルサが「ありのままで」といいながら魔法の力を全開にして氷の城を築く場面は、「キャリー」へのオマージュなんじゃないかと思ったほど。エルサはアレンデール王国の王女で、キャリーはスクールカーストの最下層というポジションの反転があるが、女の子が大人の女性への一歩を踏み出す姿をファンタジーの文脈で描いたという点で両者は共通する。

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