February 26, 2015

ピョートル・アンデルシェフスキのリサイタル

●25日は東京オペラシティでピョートル・アンデルシェフスキのリサイタル。今もっとも聴くのが楽しみなピアニスト。前回聴いたリサイタルはその年の一二を争うほど強い感銘を残してくれた。今回は事前発表から少し曲目が変更されて微妙に惜しかったんだけど(ヤナーチェクがなくなったし、イギリス組曲も変更あり)、いざ演奏が始まればもうそんなことはすっかり頭から飛んでしまう。前半がバッハでフランス風序曲ロ短調、イギリス組曲第3番ト短調、後半がシューマンで「精霊(天使)の主題による変奏曲」、幻想曲ハ長調。
アンデルシェフスキのバッハ:イギリス組曲●前半のバッハは前回聴いたリサイタルや少し前にリリースされたCDの印象からすると、やや様子が違っていて、少し大柄な音楽になっていたと思う。豊満というほどではないし、まちがいなくアンデルシェフスキの音楽なんだけど、表現の振幅という点でリミッターが心持ち緩めに設定されていたというか。でも、この流れが後半のシューマンに入ると功を奏して、みずみずしい詩情にあふれた名演になった。変奏曲が終わった後、拍手なしでそのまま幻想曲に突入できたのも効果的。幻想曲は少し前にポゴレリッチの怪演に圧倒されたのがまだ記憶に新しく、あのときの異様な演奏がエコーのように遠鳴りして困ってしまうのだが、なんとか押し留めることができた。
●幻想曲の後、やはり客席はひと息しんと静まって、余韻をたっぷりと味わった。あと一世代くらいすると、東京の客席から「演奏終了後の拍手」という習慣がなくなるかもしれない、と思わんでもない。アンコールがなくてもおかしくない雰囲気だったが、すぐにピアノに向かい、ベートーヴェンの6つのバガテル作品126の第1曲。これはすごくいい選択では。同じ作品126のバガテルでも第3曲アンダンテのほうがアンコールに向いてそうだけど、第3曲は完結した小宇宙を作ってしまうので、シューマンの余韻の後に聴くなら、より「開いた曲」である第1曲なんだろう……と思っていたら、次のアンコールが126の第2曲。で、拍手を待たずにすぐさま続けて第3曲も弾いてくれた! すばらしいなあ。じゃあこのまま最後まで弾いてくれないかと思ったけど、さすがにそんなことはなくて第3曲でおしまい。時計を見るともういい時間だった。

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