January 13, 2016

山田和樹&N響の「ペトルーシュカ」他

●9日はNHKホールで山田和樹指揮のN響定期。山田和樹待望のN響定期デビュー。プログラムがおもしろい。ビゼーの小組曲「こどもの遊び」、ドビュッシー(カプレ編)のバレエ音楽「おもちゃ箱」、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシカ」(1911年版)。共通するテーマとしては、子供と人形、魂を宿した人形、パリで初演された作品といったところ。
●ドビュッシーの「おもちゃ箱」は聴く機会の少ない作品だが、以前カンブルラン&読響が同じようにこの曲と「ペトルーシュカ」(より一般的な3管編成の1947年版)を組み合わせていた。そのときは純粋に管弦楽曲として聴いたんだけど、今回は女優の松嶋菜々子による朗読入りのバージョン。これは指揮者のアイディアなんだろうか。朗読のおかげで、ストーリーが伝わってきて、ずいぶん見通しがよくなった……はずなんだけど、どこか焦点の定まらない感が残るのはオケのみバージョンと同じかも。というか、これはなにを読んでいるんでしょ。ト書き?
●後半の「ペトルーシュカ」は圧巻。4管編成の1911年版って、今まで実演で聴いたことはあったんだっけ……あっても数は少ないはず。ところどころから斬新な響きが聞こえてきて、こんなにも豊かな色彩感を持った曲だったのかと再認識。もともとオーケストラ曲一般に対して「管楽器の編成を大きくしてもかえって彩度が濁って豪華絢爛とはならないんじゃないのー、リムスキー=コルサコフの『シェエラザード』なんて2管編成じゃん」的な疑念をつい抱きがちなんだけど、見方を正された気分。この響きの多様性は抜群に楽しい。むしろこっちのほうがよっぽど「おもちゃ箱」的というか。山田和樹の指揮ぶりは明快かつ堂々たるもの。余裕を持ってオーケストラを統率して、そのうえ本番ならではの精彩に富んだ表情を引き出していた。
●松嶋菜々子さんって、すごく長身の方だったんすね。体感的には185cmくらい(だけどさすがにそんなわけない)。会場の空気が変わるくらい美しかったです。

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