March 9, 2016

佐渡裕&東京フィルのラフマニノフ

●7日はサントリーホールで佐渡裕指揮の東フィル。ジョン・アダムズの「議長は踊る」、キース・エマーソン(吉松隆編)の「タルカス」、ラフマニノフの交響曲第2番というプログラム。「タルカス」は2010年に藤岡幸夫指揮東フィルが初演して話題を呼んだが、こんなふうに定期演奏会のなかの一曲として別の指揮者でさりげなく再演されているのがスゴい。ワタシはプログレ原体験がないので、原曲への思い入れはないんだけど、ジョン・アダムズと並列されているのが肝なのかな、とプログラムだけを見て思った。つまり、ほぼ同年代の作曲家による20世紀後半の管弦楽曲で、それぞれ出自はまったく違うんだけど、到着点は存外近い、みたいな意図。でも、聴いてみるとそういう狙いでもないのかも。この「タルカス」って「山あり山あり」の曲っすよね。オケの定期で聴くと、やっぱり「山」すぎて異次元の大盛り感な気も。
ラフマニノフ●お目当ては前半だったが、後半が期待を上回る見事な出来栄え。ラフマニノフの交響曲第2番、近年は結構演奏機会が多い曲だけど、これだけの高揚感はなかなか味わえない。第3楽章では弦楽器の精妙な響きに聞きほれる。
●ラフマニノフは交響曲第2番、第3番、交響的舞曲、「死の島」といった管弦楽曲がいいと思う。本人があまりに卓越したピアニストだったばかりにピアノ曲の人気が高いけど、あと100年もしたら時代を代表する管弦楽曲の作曲家とみなされ、ピアノ曲はその陰にかすむんじゃないだろうか、という可能性を思いつく。

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