May 16, 2016

アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア 2016 ウィーンのトゥーマ

●13日は東京オペラシティの近江楽堂でアンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア。松永綾子、山口幸恵(ヴァイオリン)、懸田貴嗣(チェロ)、渡邊孝(チェンバロ)の4名からなるアンサンブル。「リクレアツィオン・ダルカディア」(理想郷での楽しみ)の名はイタリアの作曲家ビアジョ・マリーニの作品名に由来する。
●今回の公演で主役となる作曲家は「ウィーンのトゥーマ」。え、トゥーマ……って、だれ? フランチシェク・イグナーツ・アントニン・トゥーマ(1704-1774)はボヘミアのコステレツ・ナト・オルリツィー生まれで、ウィーンで活躍した作曲家なのだとか。そのトゥーマのソナタ イ短調、パルティータ ヘ長調、パルティータ ハ短調、シンフォニア ニ長調、シンフォニア 変ロ長調の間にムッファトとカルダーラのチャッコーナがさしはさまれるというプログラム構成。それぞれバラエティに富み、新鮮な気分で楽しんだ。意外とイタリア的な快活さを感じさせる作風だが、パルティータ ハ短調はウィーン古典派を予告するような劇的緊張感もうっすら漂わせる。
●トゥーマはウィーンで対位法の大家フックスに学んでいる。アンコールにはそのフックスの作品をということで、「トゥルカリア」。トルコ趣味の楽しい作品。渡邊孝さんのトークで、「フックスの作品番号Kは、モーツァルトと同じくケッヘルが整理したもの。このトゥルカリアに与えられた番号はK331。モーツァルトでK331といえば、あの有名な『トルコ行進曲』なので、これはきっと確信犯」という解説があって、おもしろい。フックス版ケッヘル目録はどんなルールで番号付けがされているんだろうか。

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