October 4, 2016

パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響&マツーエフ

●1日はNHKホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮N響。前半にプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番(デニス・マツーエフ)、後半にラフマニノフの交響曲第3番というロシア・プロ。プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番はこの作曲家の魅力がたっぷりと詰まった傑作で、グロテスクとリリシズムの融合という点で第3番を凌ぐ最強のコンチェルトだと思う。終楽章のクレイジーな盛り上がりがカッコよすぎる。マツーエフは強烈な打鍵で怪物的ヴィルトゥオジティを発揮。ピアノの筐体がギシギシと軋むかのような豪快さ。それでいて情感も豊か。アンコールにシベリウスの13の小品op76-2「練習曲」。客席の拍手が止まず、なんとまさかのもう一曲。マツーエフ編の「A列車で行こう」。どうやらこれはマツーエフ得意のアンコール曲の模様。
●後半は、期待通りの引き締まったサウンドによるラフマニノフ。ロマンに過剰に溺れず、筋肉質。第2楽章冒頭の弦楽器がとても美しい。で、いつものように弦は対向配置なのだが、この第2楽章、冒頭でひとしきり主題提示が終わった後、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの間で左右でさざ波のようなやり取りがある。対向配置が生み出すステレオ効果なんてのは録音ではともかく、現実のコンサートホールの客席ではおおむねファンタジーにすぎないと感じているんだけど、とはいえこの部分はステレオ効果を狙っているにちがいない。幻想的で効果抜群だもの。初演した1930年代のフィラデルフィア管弦楽団がどういう配置を採用していたのかは知らない。

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