October 7, 2017

リャン・ツァン指揮上海フィルハーモニック

●5日は東京オペラシティでリャン・ツァン指揮上海フィルハーモニック管弦楽団。これは毎年開催されているアジア・オーケストラ・ウィークのなかの一公演。アジア太平洋地域のプロ・オーケストラが年ごとに複数団体招かれるもので、今年は上海フィル、マレーシア・フィル、そしてホスト・オーケストラとして関西フィルが参加。
●で、上海フィル(旧称は上海放送交響楽団)を初めて聴いたんだけど、うまい! 特に弦がいい。次いで木管。このアジア・オーケストラ・ウィーク、うっかりすると「進境著しいアジアの楽団がどこまで来たか」とつい無条件で先行者の目線で見てしまいがちだったんだけど、もうそんな時代ではないと認識を改める。すでにレベルは十分高いし、さらにまだまだ行けそうなポテンシャルまで感じる。あと、伝わってくるのはローカリズムよりも、むしろグローバリズム。楽団に固有のキャラクターがあったとしても、そこに中国的とかアジア的とか、そんなラベルを貼る気がしない。
●プログラムは芥川也寸志の弦楽のための三楽章「トリプティーク」、ショパンのピアノ協奏曲第2番(ジェ・ヤン)、ドヴォルザークの交響曲第8番。ジェ・ヤンの流麗で情感豊かなソロも見事。特別すごいコンクール優勝歴があるわけではないんだけど、それでもこのレベルの高さ。リャン・ツァンの指揮ぶりは非常に明快で、ドヴォルザークの交響曲第8番では起伏に富んだ音楽を作り出していた。音楽の表情は「濃い」と思うんだけど、落ち着き払ってオーケストラをコントロールしていて、力みがない。アンコールは前半のソリスト、後半のオーケストラともに「お国もの」だったが、このアンコールがなかったら特にこの公演が「アジア・オーケストラ・ウィーク」の一環だなんて感じなかったと思う。むしろステージより客席がアジアだった。

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