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October 23, 2018

フライブルク・バロック・オーケストラ&キャロリン・サンプソン

●22日はトッパンホールでフライブルク・バロック・オーケストラ。ソプラノにキャロリン・サンプソンを迎えたバッハ・プログラム。前半、一曲目はヨハン・ベルンハルト・バッハの管弦楽組曲第2番ト長調で、続いてバッハのカンタータ第199番「わが心は血の海に泳ぐ」。後半はバッハのオーボエとヴァイオリンのための協奏曲(カタリーナ・アルフケンのオーボエ、アンネ・カタリーナ・シュライバーのヴァイオリン)と結婚カンタータ「今ぞ去れ、悲しみの影よ」。器楽曲も声楽曲も両方楽しめる嬉しいプログラム。コンパクトなトッパンホールで聴けるのがぜいたく。キャロリン・サンプソンの清澄でつややかな美声と鋭くエネルギッシュなフライブルク・バロック・オーケストラのサウンドの組み合わせが吉。
●一曲目のヨハン・ベルンハルト・バッハ(1676-1749)の管弦楽組曲第2番がなかなかの佳曲。大バッハより9歳年上。大バッハの同種の曲と同じように、フランス風序曲で始まってガヴォットやサラバンド、エール、メヌエット、ジーグといった舞曲が続く。もしこれがヨハン・ベルンハルトではなく、ヨハン・セバスティアンの作品だったら、もっとずいぶん演奏されただろうに。っていうか、ヨハン・ベルンハルトってだれだっけ? ヨハン・ベルンハルト・バッハのお父さんがヨハン・エギディウス・バッハ、そのお父さんがヨハネス・バッハ、その兄弟がクリストフ・バッハ、その息子がヨハン・アンブロジウス・バッハ、さらにその息子がヨハン・セバスティアン・バッハ、ということで合ってるかな?(自信なし)。つまりヨハン・ベルンハルトとヨハン・セバスティアンの関係は、音楽社会学的には「バッハ一族」、生物学的には「ほぼ他人」といったところか。ちなみにP.D.Q.バッハは、ヨハン・セバスティアンの……いや、止めとこ。
●といっても、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲を聴くと、やっぱりヨハン・セバスティアンにはヨハン・ベルンハルトとは決定的に違うなにかがあると思ってしまうのだが。結婚カンタータの前に置かれたこともあり、いつになく祝福の音楽として聴く。結婚カンタータの後、キャロリン・サンプソンが日本語で挨拶したところまでは驚かなかったが、そのあと、そのまま日本語で山田耕筰「からたちの花」を歌い出したのにはびっくり! まさかバロック・オーケストラの公演で「からたちの花」を聴けるとは。これがのびやかで、立派。さらにもう一曲、「わが心は血の海に泳ぐ」の最後のアリアをもう一度歌って、明るく華やいだ気分で終演。