March 7, 2019

「シャーロック・ホームズ 絹の家」 (アンソニー・ホロヴィッツ著/角川文庫)

●先日、「カササギ殺人事件」(アンソニー・ホロヴィッツ著/創元推理文庫)を読んだ際に、これだけ見事なミステリ小説を書けるのならほかにも傑作があるはずと思い、同じ著者の本を検索してみた。すると、なんとこの人、シャーロック・ホームズものを書いているではないの。しかもコナン・ドイル財団公認というふれこみ。まあ、別に財団が公認してようがしてなかろうが、ホームズの続編はだれが書いたっていいはずだが(著作権は切れている)、「カササギ殺人事件」のクラシカルなスタイルを思い出せば納得の人選という気がする。で、読んでみた、長篇「シャーロック・ホームズ 絹の家」(アンソニー・ホロヴィッツ著/角川文庫) 。ずばり、期待通りのおもしろさ。ホームズものの設定を生かしてはいるけど、これに過度に依存せずに、読ませる話になっている。技巧的で擬古的。
●BBCの「シャーロック」みたいに、原作が有名すぎるゆえにぶっ飛んだ演出を加えるのも悪くないんだけど、ホロヴィッツはその点では抑制的。で、やっぱり映像の持つ力というのは侮れないもので、小説を読んでいてもホームズのセリフになると、つい頭のなかにはグラナダTV「シャーロック・ホームズの冒険」のジェレミー・ブレットのホームズが浮かんでくる。セリフを語る声は露口茂だ。じゃあ、ワトソンはどうかというと、なぜかそっちのほうはBBC「シャーロック」のマーティン・フリーマンが出てくる。ジェレミー・ブレットのホームズとマーティン・フリーマンのワトソンという、キメラ的共演が脳内で勝手にくりひろげられるのであった。

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