June 17, 2019

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のウェーベルン、ベルク、ブルックナー

●14日はNHKホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団。バッハ~ウェーベルン編の「リチェルカータ」、ベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」、ブルックナーの交響曲第3番(第3稿)。つまりバッハを再構築したウェーベルン、バッハを引用したベルク、ワーグナーを引用した(けど削除した)ブルックナーという、先人へのリスペクトから生まれた名曲が並ぶ。おもしろい。ゲスト・コンサートマスターにミュンヘン・フィルのナストゥリカ・ヘルシュコヴィチ。とても大柄で、しばしば腰を浮かせながら弾く。ヴィオラのトップにベルリン・フィルで見かける男性。
●シャハムはベルクのような作品を弾いてすら、どこか楽しげ。音楽の愉悦を伝えてくれる。レクイエム的な要素よりも耽美さが前面に。ソリスト・アンコールはやはりバッハ。無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番からガヴォット。朗々とした明るい響きがベルクの厚い雲をパッと吹き飛ばす。楽器が奏者と一体化して鳴り切っているかのよう。
●典型的な「ブルックナー行列」プログラムなので、休憩に入るとまたたく間に男性側に長蛇の列ができた。しかし、しばらくするとすっと解消。休憩が20分になった明確な効果がここに。って、なにを観察しているのだ、ワタシは。
●ブルックナーの交響曲第3番(第3稿)、この曲は労作感があるというか、少しつなぎ目の見える曲だと思う。パーヴォらしくテンションの高い鋼のブルックナーながら、第3楽章のトリオで思い切り田舎風のひなびたテイストを出すなど、あちこちにユーモアも。第4楽章冒頭の弦、アクセントをはっきり付けてリズミカルなのがかわいい。ラストのコーダは最強のカッコよさ。
●NHKホールからの帰り道、渋谷駅近辺で大勢の女子たちがタピオカミルクティーらしきものを手にしていた。ブームは実在した。NHKホールの売店にタピオカドリンクが並ぶ日も近い……かも。

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