December 3, 2019

鈴木優人指揮N響のメンデルスゾーン「宗教改革」他

青の洞窟
●30日、NHKホールで鈴木優人指揮NHK交響楽団。すでにオルガニストとしては出演済だが、今回は指揮者としてN響デビュー。どうやら恒例となったらしい「青の洞窟」のイルミネーションでホール前の代々木公園は真っ青。みんなスマホで写真を撮っている。前半にメシアンの「忘れられたささげもの」、ブロッホのヘブライ狂詩曲「ソロモン(シェロモ)」(チェロにニコラ・アルトシュテット)、後半にコレッリ(鈴木優人編曲&チェンバロ)の合奏協奏曲「クリスマス協奏曲」、メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」。12月のクリスマスにちなんで、カトリック、プロテスタント、ユダヤ教入り混じった宗教プログラム。「青の洞窟」の日本風クリスマス・イベントを通り抜けた向こうにこんなプログラムが待っているというさすがの趣向。ゲストコンサートマスターにロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のヴェスコ・エシュケナージ。先週のコンセルトヘボウ管弦楽団来日公演に引き続いて。
●前半、ブロッホが終わったところで妙に長い沈黙が訪れて、なかなか拍手できず。謎の空白。アルトシュテットはアンコールになるとエンドピンをしまってバッハの無伴奏チェロ組曲第5番のサラバンド。これが極端に弱音に寄った淡々としたモノローグ風の演奏で独特。
●後半が断然おもしろかった。コレッリのクリスマス協奏曲は鈴木優人編曲でオーボエ2、ファゴット1が加えられたもの。チェンバロを弾きながら指揮。近年、モダン・オーケストラの定期演奏会でバロック音楽が取り上げられる機会がめっきり減っているけど、レパートリーの多様化という点からもこういったチャレンジは大歓迎。小編成なので、サントリーホールのB定期ならなおよかったとは思うけど……。続く、メンデルスゾーンの「宗教改革」はこの日の白眉。ホグウッド校訂による初稿で、第4楽章を導くフルート・ソロの長いレチタティーヴォが入る。これは効果的。そして、稿のいかんにかかわらず、「宗教改革」が圧倒的な名曲であることを改めて実感。信仰を超越した普遍性を感じる。

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