amazon
October 28, 2021

ブロムシュテット指揮NHK交響楽団のステンハンマル&ベートーヴェン

●27日はサントリーホールでヘルベルト・ブロムシュテット指揮N響。プログラムはステンハンマルのセレナードとベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。どちらも35分程度の曲なので少し短めのプログラムだが、94歳のマエストロに文句を言う人はいないだろう。同コンビでは以前にベートーヴェン「田園」とステンハンマルの交響曲第2番を組み合わせたプログラムがあったが、今回もこのふたりの作曲家がセットに。
●ステンハンマル作品はセレナードといいつつも、冒頭が「序曲」と題されていて、これが本当にオペラの序曲風。田舎町に起きるドタバタ騒動の末に若い男女がめでたく結ばれる的な筋立てを勝手に想像する。全5楽章で、白眉は第4楽章のノットゥルノ。田園情緒にあふれ、ノスタルジック。後半の「運命」は夾雑物を削いだ純度の高いベートーヴェン。老巨匠となっても決してテンポは弛緩しない。第1楽章は微妙に噛み合わないところもあったと思うが、尻上がりに熱を帯びて、剛健な音のドラマが築かれた。マスク着用でスタートして、第2楽章でおもむろにマスクを外すマエストロ。これは「クララが立った!」的ななにか?(古すぎ)。第1楽章も第4楽章も提示部のリピートあり。特に第4楽章のリピートの瞬間は全曲のハイライトのひとつだと思っているのでうれしい。一回目よりも一段と祝祭性を増した凱歌が奏でられる。演奏がいいと、なんならもう一回リピートしてくれないかと思うほどだが、3周目に突入した演奏はいまだかつて聴いたことがない(そりゃそうだ)。弦は対向配置、ホルン倍管、バロックティンパニ使用。
●カーテンコールは一回目からコンサートマスターの指示で立っていた楽員がササッと座って、マエストロひとりを讃えるモードに。高齢のマエストロの往復回数を減らすための気遣いか。それでも結局何度も往復することになるのだが。サントリーホールのステージ、段差がいくつもあるのでいかに壮健なマエストロといえども足元はかなりハラハラさせられることは確か。この日も指揮者のソロカーテンコールが2度あった。客席はスタンディングオベーション。ブラボーの声も。