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May 12, 2022

オレンジ色のあれ ── ナガミヒナゲシ

ナガミヒナゲシ
●この時期になると一斉にあちこちに咲くのがオレンジ色のこの花。以前はこんな花、なかったと思うが、今や春にもっともよく目にする花になった。名前はナガミヒナゲシ。ケシ科。調べてみると比較的新しい外来植物で、急速に広がりつつあるという。繁殖力が強く、道端のあちこちに生え、アスファルトの間からも顔を出す。周辺の植物の生育を阻害する成分を出す(アレロパシー)ため、どうやら嫌われ者の雑草という扱いになっているようだ。自治体によっては駆除を推奨しているところも。
●実感としては年々、少しずつ個体数を増やしているようで、道路沿いにある放置気味の空き地などは春にナガミヒナゲシ畑のようになっている。きれいといえばきれい、禍々しいと思えば禍々しいかも。で、道端では旺盛に繁殖する割に、広々とした公園の中ではまるで見かけないのだが、クルマのタイヤに種子が付着して運ばれ、道路沿いに分布を広げているという説を読んで、なるほどと思った(参照:農業環境技術研究所 研究トピックス「春に気をつける外来植物:ながみひなげし」)。ヒトが作った無生物であるクルマが、生態系のなかで機能している。あるいはヒトがクルマを繁殖させ、クルマがナガミヒナゲシを繁殖させたというべきか。
●春の新季語にどうか。ナガミヒナゲシ、7文字でちょうどいい。