September 16, 2022

パーヴォ・ヤルヴィ指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のジョン・アダムズ・アルバム

●指揮者界のレコーディング・チャンピオンである父ネーメ・ヤルヴィには及ばないものの、息子パーヴォ・ヤルヴィの録音点数も相当なものだと思う。ドイツ・カンマーフィル、シンシナティ交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、パリ管弦楽団、NHK交響楽団と、シェフを務めたオーケストラでそれぞれに応じた作曲家のアルバムを制作し、現在音楽監督を務めるチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団とはチャイコフスキーに続いて、ジョン・アダムズ・アルバムをリリース。チューリッヒでジョン・アダムズというのは意外な選択だけど、楽しい曲がそろっている。
●で、「スロニムスキーのイアーボックス」「トロンバ・ロンターナ」「ロラパルーザ」は他でも聴く曲だけど、「私の父はチャールズ・アイヴズを知っていた」っていう曲が入ってるんすよね。ワタシは初めて聴いた。全3曲で30分近くある。特に第1楽章「コンコルド」が思いっきりアイヴズ調でかなりおかしい。第2曲「湖」、第3曲「山」と続く。「山」はジョン・アダムズ自身の登山体験に基づいているそうで、21世紀の「アルプス交響曲」と名付けたくなるような神々しい瞬間がやってくる。
●それにしてもジョン・アダムズの父親がアイヴズと面識があったとは。いったいどういうつながりなんだろ……と思ったら、なんと、別に知り合いでもなんでもないって言うんすよ! ただ「私の父はチャールズ・アイヴズを知っていた」という曲名を付けただけ。ジョン・アダムズによれば、自分と父の親子関係と、チャールズ・アイヴズとその父ジョージの親子関係には似たところがあるそうで、もし出会う機会があれば親同士がよい友達になったんじゃないかという。どちらの父親も芸術肌でビジネスセンスに乏しく、夢見がちで、息子を触発することには長けていて、ニューイングランドの小さな街での暮らしを気に入っており、ソローの思想に賛同していたのだとか(Hallelujah Junction: Composing an American Life / John Adams を参照)。でも、だからといってそんな混乱を招くような曲名を付けるかね……。