September 30, 2022

ディズニープラスの「オビ=ワン・ケノービ」(デボラ・チョウ監督)

●ディズニープラスでオリジナルドラマシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」全6話を観た。舞台設定は「スター・ウォーズ」エピソード3の10年後。つまり新三部作と旧三部作の間の時代を扱っている。新三部作のラストでオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)はアナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)と凄惨なバトルを演じ、勝利した。アナキンは帝国によりダース・ベイダーとして生まれ変わるが、オビ=ワンはまだその事実を知らない。生き残ったジェダイたちは帝国から追われる身となり、オビ=ワンはライトセーバーを封印し、一市民として身を隠しながら密かに少年ルーク・スカイウォーカーを見守っている。主人公はオビ=ワンだが、幼少期のプリンセス・レイアを巡る物語になっている。監督はデボラ・チョウ。
●という話なので、「マンダロリアン」とは違って、ストーリーはダイレクトに「スター・ウォーズ」本編に直結している。オビ=ワンもアナキンもちゃんと本編と同じ役者が演じているし(回想シーンでは若返っている)、オビ=ワンとダース・ベイダーの直接対決という熱いシーンも用意されているので、本物の「スター・ウォーズ」感があるのが吉。正直なところ、自分のなかではディズニーが作ったエピソード7~9の続三部作は「なかったこと」になっており(思い出すだけでもめまいがしそう)、こちらの「オビ=ワン・ケノービ」を正統な本編に格上げしたいくらいの気持ちだ。「スター・ウォーズ」に必要な明快さ、簡潔さがある。西部劇オマージュが散りばめられていたのもいい。「スター・ウォーズ」のエッセンスは神話+時代劇+西部劇だし。
●ただ、難点もあるんすよねー。話の進行に不自然なところがいくつかあって、少々乱暴なのでは、とは感じた。テレビシリーズだと思えばギリギリ許せるかな。「マンダロリアン」には一歩及ばない。結局のところ、「スター・ウォーズ」は本流のストーリーに近づくほど、すでに完成している作品に無理やりパーツを追加した魔改造感から逃れられなくなるのかも。