January 18, 2023

「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」のミュージシャンたち

●1月22日に終わってしまうのだが、国立西洋美術館の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」へ。ベルクグリューン((1914~2007)という人は美術商で、世界有数の個人コレクションを築き上げた人で、そのコレクションの主要作品をドイツ政府が購入してできたのがベルクグリューン美術館なのだとか。ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティ、セザンヌらの作品を中心に約100点が展示されていた。ずらりと名作が並ぶ超高密度コレクション。そのなかから音楽家や楽器を題材にした作品をいくつかピックアップしてみる。
ピカソ ヴァイオリン
●まずはピカソから。「ヴァイオリン」(1912-13)。ピカソにヴァイオリンを題材にした作品はいくつかあるようだが、これは初めて見た。ふたつのf字孔やスクロールも描かれていて、比較的明快にヴァイオリン。

ピカソ ギターと新聞

ピカソ グラス、花束、ギター、瓶のある静物

青いギターのある静物
●続いてはピカソとギター。ギターは頻出する。上から「ギターと新聞」(1916)、「グラス、花束、ギター、瓶のある静物」(1919)、「青いギターのある静物」(1924)。

ギターを持つアルルカン
●ピカソ作品で楽器も人物も描かれているのが「ギターを持つアルルカン」(1918)。これはかなり明快に描かれている。アルルカン(アルレッキーノ)といえばレオンカヴァッロのオペラ「道化師」のベッペを思い出すが、このアルルカンはなにかを企んでいそうな顔つき。信用ならないタイプ。

ピカソ「タンバリンを持つ女」
●続いてピカソ「タンバリンを持つ女」(1939)。全裸でタンバリンを鳴らすと楽しそうである。

パウル・クレー「運命のファゴット・ソロ」
●こちらはパウル・クレーの「運命のファゴット・ソロ」(1918)。ファゴット奏者と、ファゴットらしきもの、そして鳥たちが見える(→拡大図)。ファゴットの目立つソロがある曲といえば、まず思いつくのがストラヴィンスキー「春の祭典」。パリでの初演は1913年。英題はFatal Basson Soloで、あのソロならFatalであってもおかしくない感じ。これは「春の祭典」の演奏風景なのだろうか。いや、待てよ。鳥が描いてあるということは同じストラヴィンスキーでも「火の鳥」とか? 「火の鳥」であれば「子守歌」にファゴット・ソロが出てくる。でもあれはFatalって感じではないと思うから、やっぱり「春の祭典」では。それともひょっとしてチャイコフスキー「悲愴」のファゴット・ソロ?

デュフィ「モーツァルト」
●オマケで同じ国立西洋美術館の常設展に展示されたデュフィ「モーツァルト」。手間にピアノとヴァイオリン、奥のほうに譜面台と弦楽器奏者たちが並んでいるが、これはオーケストラ・ピットなのだろうか。

⇒関連記事
国立西洋美術館のミュージシャンたち
東京国立博物館のミュージシャンたち その1
東京国立博物館のミュージシャンたち その2