January 19, 2023

「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」シーズン1 Apple TV+

●あまりの評判のよさに、ついに「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」シーズン1を観てしまった。Apple TV+で配信されているアメリカのドラマ・シリーズで、アメリカンフットボールのコーチだった主人公テッド・ラッソが、イングランドのプレミアリーグの監督に抜擢されるというコメディ。なにをどうまちがってもアメフトからプレミアリーグへの転向などありえないのだが、そこはコメディなのでとことん荒唐無稽だ。主人公はオフサイドすら理解していないサッカーのド素人。でも、だれもが好きになれずにはいられないナイスガイで、最初はまったく相手にされていないが、次第にみんなのハートをつかむようになる。
●主人公が監督に就任したのはAFCリッチモンドなる架空のチーム。対戦相手にはマンチェスターシティなど実在のチームが出てくる(もちろん役者が演じている)。このドラマ、最初はプレミアリーグが舞台だからサッカー・ファンとして見どころがふんだんにあるのではないかと期待して見始めたのだが、これは大きなまちがいで、本格的な試合シーンなどは出てこない。それどころか、選手たちは到底プレミアリーグのアスリートには見えない体型だし、まれに出てくる試合場面も世界最高峰のフットボールリーグのゴージャスさはかけらもなく、全米大学選手権地区予選くらいの規模に見える。しかもドラマの設定がアメリカ人的な発想で作られていて、どうやらAFCリッチモンドを万年弱小チームとして描こうとしているのだが、野球界と違ってサッカー界に万年弱小チームは存在しない(降格があるから)。でも、そのあたりのピントのズレ具合を全部うっちゃって、このドラマはおもしろい。いいヤツ、いやなヤツ、いろんな人物が出てくるけど、悪人がひとりもいないのがよい。
●主人公がカンザスからロンドンにやってきたという設定なので、米英の違いがしばしば笑いのネタになる。たとえば主人公が記者会見で水を飲んだら、プーッと噴き出すとか(炭酸入りだから)、紅茶を勧められて「オエッ!マズッ!これホントにうまいのか?」みたいになる場面とか(カンザスの人は紅茶を飲まないの?)。いちばん笑ったのは「プレミアリーグから降格したらチャンピオンシップを戦うんだぜ!?」っていう場面。そう、イングランドの2部リーグは「チャンピオンシップ」と呼ばれるのだ。たしかにこれはわけがわからない。