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October 24, 2023

レイフ・オヴェ・アンスネス ピアノリサイタル

●23日は東京オペラシティでレイフ・オヴェ・アンスネスのピアノ・リサイタル。久々にアンスネスのピアノを満喫。プログラムが最高にすばらしい。前半にシューベルトのピアノ・ソナタ第14番イ短調、ドヴォルザークの「詩的な音画」より5曲、後半にベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」とブラームスの「7つの幻想曲」作品116。前後半ともにソナタ+小品集のセットになっている。小品集+ソナタではなく、逆なのがおもしろいところ。凝縮されたソナタの世界から自在にファンタジーが羽ばたく小品集へと開けてゆく開放感が吉。
●前半のドヴォルザーク「詩的な音画」はこの日の発見。こんなに魅力的な曲集だったとは。ドヴォルザークのピアノ曲は盲点だった。アンスネスはソニークラシカルに「詩的な音画」全曲を録音しているけど未聴だったので。全13曲から「夜の道」「たわむれ」「セレナード」「バッカナール」「スヴァター・ホラにて」の5曲を抜粋。5曲でシンメトリックな構成になっているのだと思う。最後の「スヴァター・ホラにて」、高音のきらきらとしたアルペジオは滝かなにかが流れ落ちているのかと思ったら、鐘なんだとか。別名「聖なる山にて」、つまり教会なので巡礼のコラールに鐘が組み合わされた曲だと解説で知って納得。
●ベートーヴェン「悲愴」は細部までコントロールされ、強奏時でも清澄さを失わない。ブラームス「7つの幻想曲」は第4曲のインテルメッツォが最高だと思う。気だるく寡黙というか。終曲のカプリッチョはシューマン風味。アンコールは3曲。ドヴォルザーク「詩的な音画」から「春の歌」、ショパンのマズルカ作品33-2と作品17-4。
●休憩時のCD売り場には長蛇の列。購入者には終演後にサイン会があった模様。まだまだCDの再生環境は健在ということなのか、それともCDを買っても聴くときはSpotifyやApple Musicなのか、どっちなんでしょうね。