●18日はすみだトリフォニーホールで佐渡裕指揮トーンキュンストラー管弦楽団。モーツァルトのピアノ協奏曲第23番(反田恭平)とマーラーの交響曲第5番のウィーン・プログラム。10年間にわたってトーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督を務めた佐渡裕のラストシーズンを飾る来日公演で、プログラムノートに寄せられた楽団員たちのメッセージから音楽監督との良好な関係性が伝わってくる。欧州の楽団で10年にもわたって音楽監督を務めたのは快挙というほかない。
●チケットはもちろん完売。この日は宮崎、兵庫、長野、高崎、名古屋、府中、富山を回る全国ツアーの最終日。これだけ全国各地で公演が成立するのも驚異的。冒頭に佐渡裕の巧みなトークがあって、ここで客席がドッと沸く。ピアノ協奏曲第23番では反田恭平が力強いタッチで、くっきりと明瞭で端正なモーツァルトを奏でる。情感も豊か。オーケストラはしなやかで芳醇、まさにウィーンのモーツァルトといった趣。アンコールはシューマン~リストの「献呈」。こちらはドラマティックな表現で、すばらしい高揚感。
●後半のマーラーではオーケストラのふっくらとした豊麗なサウンドが聴きもの。ツアーを通してすっかり手の内に入っているといった様子で、名手たちのソロも見事。佐渡裕の確信の棒のもと、一歩一歩、じっくりと歩みを進めて、壮大なフィナーレで爆発する。曲が終わるやいなや盛大なブラボーと喝采があり、カーテンコールをくりかえした後、ウィーン・フィルばりにヨハン・シュトラウス2世「雷鳴と電光」のアンコール。こちらはぐっと開放的な雰囲気で。最後の一音が終わるよりも前にダーッと拍手がなだれ込んだのはよかった。その場にふさわしいタイミングだと思う。
●開演前からCDが飛ぶように売れていた。終演後にサイン会があった模様。
●来月、ムジークフェラインでマーラーの「千人の交響曲」で音楽監督としての掉尾を飾るようだけど、なんと4公演もある。すごい。
May 19, 2025