●アーティゾン美術館で3月から開催中の「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」展(~6/1)がよい。アルプ夫妻の作品が計88点、展示されている。上はジャン・アルプの「トルソとへそ」(1924/63)。えっ、へそなの。わーっと元気いっぱいにジャンプしている、あるいはプールに飛び込もうとしている人みたいにも見えるし、アメーバみたいな原生生物っぽい感じもする。それとも生きているスパナとか。いずれにせよ、生きている。モノトーンがカッコいい。
●これも同趣向、同時期の作品で、ジャン・アルプ「花の頭部をもつトルソ」(1924)。花といえば花、シダ植物っぽい感じもする。こちらはほんのりとユーモアが漂っているのが吉。
●アルプ夫妻のふたりがほぼ等しく扱われているのだが、点数としてはゾフィー・トイバー=アルプ作品のほうがやや多い。そのなかでいちばんいいなと思ったのは「夏の線」(1942)。初夏の爽やかさを感じる。湿度低め。これはジャン・アルプ寄りの作風だけど、ぜんぜんちがったタイプの作品も多数。
●こちらはジャン・アルプ「デュオ=絵画」(1950頃)。ゾフィーを失った後の沈黙を経た後の作品。リズミカルな直線の組合せに2つの円が組み合わさって、不思議な安定感を作り出している。なんだか魚っぽいなとも思う。サンマかなにか、青魚が2匹いる気がする。
●で、ここは同時に硲伊之助展と石橋財団コレクション展が開催されていて、チケットはぜんぶ共通という方式。どれも見ごたえがある。
●ちなみに、こちらは東京国立近代美術館のコレクション展で展示されているジャン・アルプの「鳥の骨格」。新収蔵作品。ジャン・アルプ小特集みたいな感じで立体作品と平面作品と合わせて20点近く展示されていた。こういうのって、うっすらと連動企画みたいな感じで意図されているものなの? それともたまたま? 音楽界の場合は偶発的に誕生したミニフェスティバルみたいなのはよくあるわけだけど……。日本橋のアーティゾン美術館と竹橋の東京国立近代美術館で東西線3分の近さ。