●11日はサントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2025で、シューマン・クァルテットのベートーヴェン・サイクル第1夜。会場はブルーローズ(小ホール)。エリック・シューマン、ケン・シューマン(ヴァイオリン)、マーク・シューマン(チェロ)のシューマン3兄弟にヴィオラのファイト・ヘルテンシュタインが加わったクァルテット。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を6公演にわたって演奏する。初日は弦楽四重奏曲第1番、第7番「ラズモフスキー第1番」、第16番で、初期・中期・後期のヘ長調プロ。初日に最初の作品と最後の作品を組合わせて Alpha and Omega と題を掲げる。休憩は「ラズモフスキー第1番」の後なので、前半が長い。
●きわめてクオリティが高く、練り上げられたベートーヴェン。とくに前半は圧倒的なスケールの大きさ。第1番がまるで中期作品のように雄大に感じられる。白眉は第2楽章で、深く感情を揺さぶる音楽。続く「ラズモフスキー第1番」はさらに巨大な音楽となって、ほとんど交響曲的。重厚な本格派のベートーヴェン。後半、第16番は作品の性格の違いもあり一転して軽やかでウィットに富んだ雰囲気。ふふと笑みを漏らしたくなるような瞬間もたびたび。長い前半に対するエピローグ的な印象を受ける。アンコールはなくても十分かな、とも思ったが、エリックの日本語のあいさつがあって(日本にルーツを持つ)、翌日の先取りで弦楽四重奏曲第2番の第3楽章スケルツォ。今回のサイクルはかなり聴きごたえのあるものになるのでは。
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●同日、天皇杯でマリノスはJFLのラインメール青森に0対2で完敗。1部リーグのチームがホームで4部リーグの相手に負けたことになる。マリノスが情けない? いやいや、JFLの試合をたくさん観てきた自分に言わせれば、これは日本サッカー界の成果。むしろ誇らしい気分すらある。青森にはJFL勢の底力を見せるために、次戦も勝ち抜いてほしい。
June 12, 2025