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August 6, 2025

クァルテット・インテグラのバルトーク、ヤナーチェク、ベルク

●5日はTOPPANホールでクァルテット・インテグラ。各地で40度を超える気温が観測された猛暑の一日。都内はそこまでは行かなかったものの、夕方になっても蒸し風呂のような暑さ。汗だくになりながら神楽坂駅からTOPPANホールに歩く。そしてこの日のプログラムも熱い。前半にバルトークの弦楽四重奏曲第2番、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」、後半にベルクの「抒情組曲」。ひりひりするような超高密度プログラム。全席完売。3曲とも恐るべき完成度で、三澤響果、菊野凜太郎(ヴァイオリン)、山本一輝(ヴィオラ)、パク・イェウン(チェロ)の4人が凄まじい集中度で各々の作品世界に入り込む。1910年代から20年代の3曲が時代順に並んでいるのだが、バルトーク、ヤナーチェク、ベルクと進むにつれてロマン性が高まってゆくように感じられるのがおもしろいところ。
●前回このクァルテットを聴いたのは昨年のHakuju Hallのリクライニング・コンサートで、新メンバーのパク・イェウンが加わって、新しいカラーがもたらされたところだった。そのときはまだ3+1という印象を拭えなかったけど、今回はもう完全に4人が一体になっていた。
●ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」は、トルストイの小説に託した作曲者のカミラへの情念が伝わってくるかのよう。ヤナーチェクがぶっ飛んでいるなと思うのは、トルストイの「クロイツェル・ソナタ」を読んで、不貞のために刺された妻のほうの立場に寄り添っているところ。そんな読み方がありうるとは。作曲当時のヤナーチェクは69歳。社会通念から自由になれば、38歳年下の人妻カミラが自分のもとにやってくると夢想していたのだろうか。
●アンコールにハイドンの弦楽四重奏曲ロ短調Op.33-1より第4楽章。思い切りはじけて、幕切れは楽しく。

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