●諏訪の話題をもうひとつ。4年ぶりに北澤美術館を訪れた。ここもハーモ美術館と同じく企業の創業者が築いたコレクションが公開されている。中心となるのはアール・ヌーヴォー、アール・デコのガラス工芸。現在は大阪万博にちなんだ特別展「万国博覧会のガレ」が開催中。1855年から1900年までの間にパリで5回開かれた万博を通じて、ガラス工芸家エミール・ガレが収めた成功の軌跡をたどる。で、とてもたくさんの作品が展示されているのだが、目を引いたのはジャポニズムの影響。
●これはガレの獅子頭「日本の怪物の頭」(1876)。口をぱっくりと開けたジャパニーズ・モンスター。獅子頭を透明なガラスで作るとは。
●こちらも見るからに日本風だが、北斎漫画から鯉のモチーフを借りている。ガレ「鯉文双魚形花瓶」(1879-89)。2匹の鯉の形の器に、鯉が描かれている。二重の鯉。
●そのへんの公園の池にいそうなカモだ。ガレ「鴨型手付籠」(1879-89)。色合いが日本の焼き物。
●伊万里焼をイメージしたというガレ「羊歯文伊万里風縁飾皿」(1900)。これもガラスなのだ。その辺の古いお家の食器棚に眠ってそうな趣あり。
●こちらはルネ・ラリックの立像「噴水の女神、メリテ」(1924)。この流れで見ると、もはや菩薩像にしか見えない。東博の法隆寺宝物館の1階に紛れ込んでいてもおかしくない気がする。