●7日はミューザ川崎でフェスタサマーミューザ2025。福岡から九州交響楽団が初登場。指揮は首席指揮者を務める太田弦。プログラムは前半が小出稚子の「博多ラプソディ」、ビゼーの「カルメン」から第1幕への前奏曲、ハバネラ、セギディーリャ、第2幕への間奏曲、ジプシーの歌(ソプラノは高野百合絵)、後半はショスタコーヴィチの交響曲第5番。福岡というと人口減少に悩む日本にあって例外的に元気な街で、発展を続けているというイメージがあるのだが、オーケストラも勢いがあり、上り調子といった様子。とてもうまい。このクオリティだったら、定期会員のお客さんは毎回が楽しみなのでは。
●この公演については別の場所でも書くので、ここでは違った角度から書くと、ショスタコーヴィチの交響曲第5番は昨年4月の太田弦首席指揮者就任記念の定期演奏会でもとりあげられた作品で、CDにもなっている。会場でも販売されていて、お土産に最適。ショスタコーヴィチに引用されているということで「カルメン」を組合わせたおもしろいプログラム。高野百合絵のカルメンが歌も身のこなしも完璧にカルメンで、前半から会場がドッと沸いていた。劇場のオーラをまとった人というか、同じことをできる歌手はあまりいないと思う。太田弦指揮九響は前後半とも切れ味鋭く明瞭なサウンド。ていねいで、音楽の流れに無理がない。アンサンブルがしっかりしていて、強奏時でも響きのバランスが保たれている。管と弦のバランスも上々。ショスタコーヴィチは十分にドラマティックだが、端正といってもいいくらいで、とくに第3楽章が好印象。終演後は大喝采で、拍手が止まず、楽員がみんな退出するのを待ってから太田弦がにこやかに登場し、ソロカーテンコールに。さらにコンサートマスターも呼び込んで、ふたりそろって拍手を受けていた。
August 8, 2025